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油脂分解微生物を利用する低コスト・ハイパフォーマンス排水処理システム

  • 工学部/工学研究科
  • 生命分子工学専攻
  • 生命システム工学講座

教授 堀 克敏[ほり かつとし]

http://www.nubio.nagoya-u.ac.jp/nubio2/index.html

シーズの概要

当研究室が開発した微生物共生メカニズムは、複数種の微生物の相乗効果により、従来にない圧倒的な能力で油脂を分解・消費します。このメカニズムを使って、油分解の効率を飛躍的に向上させた共生微生物製剤を開発しました。
この共生微生物製剤は、食品・油脂工場からの排水で問題となる高濃度の油分を効率的に消滅、除去させ、加圧浮上分離装置の稼働率を低下または代替も可能です。
また、油分汚泥産廃の削減、繁忙期の排水処理付加削減、悪臭問題の抑制に貢献します。その上、従来の加圧浮上分離装置での工程と比べ、導入時の設備投資コスト、ランニングコストの大幅削減が可能です。微生物製剤で心配される、処理速度や安定性の問題も、微生物の共生効果により解消されています。
現在、実証試験デモ機も制作され、ベンチスケールで工場の排水処理のデモを行うことが可能です。

この研究の新規性・独創性

本共生微生物製剤は、
・油脂の分解速度が速い
・高濃度油脂も処理可能
であり、
通常の微生物製剤では、pHや温度の適用範囲が狭いですが、
本微生物製剤は、
・pHの適用範囲も広い
・冬の低温でも分解可能
という特徴も併せ持ちます。
食品加工工場などの排水処理工程で処理しきれない油性汚泥廃棄物が、本薬剤を使うことで大幅削減され、ランニングコストの大幅削減が見込めます。本技術により、環境保全とコスト削減を同時に実現できるのです。

産学連携を目指した応用研究

本シーズは、既にJSTの研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に26年度採択され、実用化に向け進めています。
採択課題:起業挑戦タイプ【活気ある持続可能な(Active Sustainability)社会の構築】
課題名:油脂分解微生物を利用する低コスト・ハイパフォーマンス排水処理システム
A-STEPの支援を受け、ベンチスケールサイズで工程を行う実証試験デモ機を作製し、実証試験を進めています。

一言アピール

本システムの排水処理工程をベンチスケールで試せるデモ機を実際の処理現場に設置して、工場の実排水の一部を引き込み、実証試験が可能です。処理後は本来の排水処理工程に戻しますので、操業には影響を与えずに、本システムの効果を確認できます。
デモ機では
・油分解処理の工程と効果
・汚泥の発生量や沈降性
・微生物の分解状況
が見えるように、工程を可視化しています。

キーワード

排水処理、油分解、環境浄化、微生物固定化

保有技術

  • 廃水の生物学的処理・応用微生物工学関連
  • 遺伝子組換え・酵素工学
  • ナノバイオテクノロジー関連(AFM、電顕を含む)
  • バイオリアクター設計

主な機器

  • 遺伝子組換え実験施設(P2レベル)、微生物培養関連装置、遺伝子導入装置、リアルタイムPCR、DGGE、各種電気泳動装置、高速冷却遠心機、超遠心機、蛋白質分取精製用液体クロマトグラフィー、プロテオーム解析装置、高解像度イメージャー、蛍光プレートリーダー、共焦点レーザー顕微鏡、原子間力顕微鏡、フローサイトメトリー、キャピラリーガスクロマトグラフィー、HPLC 、TOC計他

主な特許

  • 特許第5685783号「新規ヤロウィア属微生物、並びにそれを用いた油分解剤及び油分解除去方法」
  • 特許第5640211号「リパーゼまたはその分泌微生物と加水分解生成物分解微生物との複合効果による油脂含有排水の処理方法とグリーストラップ浄化方法及び油脂分解剤」
  • 特許第5470614号「弱酸性条件で増殖・油脂分解可能なリパーゼ分泌微生物による油脂含有排水の処理方法とグリーストラップ浄化方法及び油脂分解剤」

主な論文

  • H. Matsuoka, A. Miura, and K. Hori; Symbiotic effects of a lipase-secreting bacterium, Burkholderia arboris SL1B1, and a glycerol-assimilating yeast, Candidacylindracea SL1B2, on triacylglycerol degradation, J. Biosci. Bioeng. 107, (2009) 401-408.
  • 堀 克敏;環境汚染物質の微生物分解と無害化;分離技術, 36, (2006) 79-83.
  • D. Okamura, Y. Mori, T. Hashimoto, and K. Hori; Effects of microbial degradation of biofoulants on microfiltration membrane performance in a membrane bioreactor,Environ. Sci. Technol. 44 (2010) 8644-8648.
  • D. Okamura, Y. Mori, T. Hashimoto, and K. Hori; Identification of biofoulant of membrane bioreactors insoluble microbial products, Water Res. 43 (2009) 4356-4362.