1. HOME
  2. 廃潤滑油再生のための膜分離溶媒抽出

廃潤滑油再生のための膜分離溶媒抽出

  • 工学部/工学研究科
  • 機械システム工学専攻
  • 機械理工学講座
  • (環境・エネルギー工学グループ)

准教授 義家 亮[よしいえ りょう]

http://www.mech.nagoya-u.ac.jp/naruse/

シーズの概要

廃潤滑油からの再生油製造を軸とする安価でコンパクトな循環システムの提案を目的として,膜分離・溶媒抽出による廃潤滑油からの再生基油の分離技術を開発する.これまでに,不純物除去性能の向上に適した安価で高耐用時間の膜材料および溶媒の種類の探索,再生油の品質評価については,おおよそ完了している.今後,実用化に向けた技術課題としては,①膜分離溶媒抽出の速度向上,②再生プロセスにおける熱交換量(入熱・抜熱)の評価が挙げられる.

この研究の新規性・独創性

廃潤滑油を有機溶媒に溶解すると,再生油成分だけが溶媒とともに膜を透過するので,これを再生油貯留槽に滴下して集める.貯留槽は60℃程度で加熱されており,溶媒のみが気化して再生油が濃縮される.気化した溶媒は冷却器で凝縮して再び廃油槽に導入される.このように有機溶媒が気化と凝縮を繰り返して循環する中で,再生油が廃油から抽出・分離・濃縮される.本手法は,既存技術(白土処理,硫酸処理)と比較して以下の優位性を持つ.
・「省資源」・・・抽出過程に利用される有機溶剤はプロセス内で「膜分離分留・凝縮」の過程を経てほぼ全量循環する.
・「省廃棄物」・・・廃液は発生せず,残渣はゴム膜内に分離されて残るタール(低質炭化水素)とスラッジ(無機系不純物)のみである.
・「省エネルギー」・・・溶媒循環に動力源は不要である.有機溶媒は100℃未満で蒸発するため,その分留器の熱源には従来利用価値の低い各種プラントの低温廃熱が利用可能である.

産学連携を目指した応用研究

車両や原動機を運転する上で欠かすことができない潤滑油は,高品質・高付加価値の炭化水素製品であるため,再生が求められるものの一つである.しかしながら現時点では,使用後の廃潤滑油を再生して利用される量はごくわずかであり,ほとんどが重油ボイラー等の燃料としての利用に留まっている.このような現状を招いている理由としては,廃潤滑油を基油へと再生する上で、経済的に成り立つ技術が事実上存在していないことが挙げられる。この傾向は国内で顕著であり,廃潤滑油回収の社会的構成が大規模集約型の再精製プラントに不適であることが最大の原因である.(西欧の一部の国々では分留プロセスを主工程とする大規模商用プラントがいくつか稼働している.)よって,小規模分散型の再精製プロセスが確立されれば,既存の運輸・物流システムにただちに組みこまれることが期待される.

一言アピール

廃潤滑油は多くの不純物が懸濁しているだけで,潤滑油成分の分子構造はほとんど壊れずに残っている.よって,これをただ燃料として燃やすだけでは大変もったいない.これに対して本研究は複雑な化学反応やエネルギー投入をともなわずに廃潤滑油から純度の高い再生基油を分離・回収する.

キーワード

”廃潤滑油”、”リサイクル”、”膜分離”、”省エネルギー”、”省資源”

保有技術

  • エネルギー収支,物質収支の評価技術
  • 有機および無機化合物の元素組成分析
  • 微細構造観察

主な機器

  • ICP発光分光分析
  • SEM-EDX
  • 熱重量分析装置
  • 各種ガスクロ
  • 連続ガス分析装置
  • 膜分離装置
  • 分留装置
  • 各種電気炉

主な論文

  • 「膜分離を伴う溶媒抽出による廃潤滑油の再生処理」義家 亮,植木保明,三輪高裕,成瀬一郎,日本機械学会論文集B編,78巻,789号,pp.1048-1052 (2012)