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線虫C. elegansを用いた薬剤スクリーニング

  • 理学部/理学研究科
  • 生命理学専攻
  • 形態統御学
  • (発生成長制御)

准教授 高木 新[たかぎ しん]

シーズの概要

モデル生物である線虫C. elegansの成虫オスの尾の形態は様々な因子によって制御される。その1例はセマフォリンである。脊椎動物の神経軸索成長の制御因子として知られる蛋白質であるセマフォリンは線虫にも存在し、その変異体では尾のray1,ray2と呼ばれる感覚器の配置が異常になる(図1)。私の研究室ではこの異常を手掛かりにして、セマフォリンシグナルの研究を行っている。これまでに遺伝学的・生化学的な手法を用いてセマフォリンシグナルの下流でmTOR系が変化することを見出した。即ちセマフォリンシグナルはTORC1活性上昇を介したmRNA翻訳の亢進とTORC2の抑制を介したPKCの活性低下を引き起こす(図2)。

この研究の新規性・独創性

線虫C. elegans成虫オスの尾を実験系に使ったシグナル経路の研究は、私たちが独自に編み出したものであり、上記の結果も私たちのオリジナルな研究成果であり、評価の高い国際紙に掲載された。線虫に存在するシグナル経路は、通常そのままヒトを含めた脊椎動物に当てはまることが知られている。マウスやゼブラフィッシュに比べて線虫は安価に大量に培養・維持することが可能であり、個体レベルでの生理的条件下でシグナル経路を簡易に研究できるという点で、大変優れた実験系である。

一言アピール

実験的に扱いやすい線虫を用いた薬剤スクリーニングは、第1次のスクリーニングとして特に適している。

キーワード

セマフォリンシグナル、mTOR、線虫C. elegans

主な機器

  • 培養槽 ノマルスキー顕微鏡、  蛍光顕微鏡,, IR-LEGO., ニポウディスク式共焦点顕微鏡 など

主な論文

  • セマフォリンシグナルを介したTORアダプター因子の選択機構:糠塚明、高木新:実験医学30(3)475-478(2012)
  • Semaphorin controls epidermal morphogenesis by stimulating mRNA translation via eIF2alpha in C. elegans. Akira Nukazuka, Hajime Fujisawa, Toshifumi Inada, Yoichi Oda, & Shin Takagi. Genes & Development. 22, 1025-1036 (2008)
  • A shift of the TOR adaptor from Rictor towards Raptor by Semaphorin in C. elegans. Akira Nukazuka, Shusaku Tamaki, Kunihiro Matsumoto, Yoichi Oda, Hajime Fujisawa & Shin Takagi. Nature Communications 2 484 DOI:10.1038/ncomms1495, (2011)