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天然炭酸塩濃集による地下透水性亀裂閉塞技術開発

  • 名古屋大学博物館

教授 吉田 英一[よしだ ひでかず]

http://www.num.nagoya-u.ac.jp/dora_yoshida/

シーズの概要

近年における地下環境の活用性の発展には目を見張るものがある。とくに、リニア新幹線をはじめとする超大なトンネルや、石油や天然ガスなどの地下資源エネルギーの備蓄、さらには放射性廃棄物の地下処分など、その規模や活用年数は、従来の数十年という工学的な耐用年数の規模を超え、数百年〜数万年に及ぶものである。そのような時空間において、果たしてどのようにそれらの地下空間を安全に維持し、また備蓄や隔離と言った初期の機能を保持するのか。とくに地下環境には地下水が必ず存在する。地下環境/空洞を安全に維持するためには、この地下水の湧出を如何に効率よく抑制し、かつ長期に持続させるのかが鍵となる。ここで示す技術開発は、天然の元素濃集プロセスを応用し、半永久的に地下岩盤中の透水性亀裂をシーリング/閉塞させ、地下空洞建設後のメンテナンスフリーを目指すものである。

この研究の新規性・独創性

天然の地層(堆積岩)中から、写真にも示すような球状コンクリーションの産出することが知られている。これは炭酸塩(主に炭酸カルシウムが多い)の濃集体であり、中には非常に保存良好な化石が含まれることも多い。地球科学的の分野では、古くからこのコンクリーションの存在は知られていたものの、しかし、なぜ丸いのか?なぜ炭酸カルシウムが50%を超える濃度で一点に濃集するのか?なぜ数百、数千万年前の保存良好な化石が含まれるのか?など、基本的な形成メカニズムは明らかではなかった。このメカニズムを最近の研究によって解明し、またその形成が、数センチサイズであれば数ヶ月、メートルサイズでも数年程度という非常に速い速度で形成されるということが分かってきた。本研究は、このプロセスを応用し、メンテナンスフリー状態で、地下構造物周辺の湧水亀裂を半永久的にシーリング/閉塞させるものである。

産学連携を目指した応用研究

本研究は、天然における炭酸カルシウムのシーリングプロセスを応用し、長期的な透水性亀裂のシーリング技術を確立することを目指している。このプロセスを定量的に評価・解析し、最終的には実験的に再現を行って、工学技術への応用を目指す。将来的には、この応用段階での産官学共同での技術開発を行う。

一言アピール

地球科学的な現象は、基本、非常に長時間の現象です。一方、現在社会における材料開発や建築物等の耐久性は、長くても数十年程度であり、100年以上を保証する技術はほとんどありません。私たちの研究グループでの研究は、自然界での長期的な現象に学び、そのプロセスを応用することにあります。

キーワード

長期的物質移動現象、コンクリーション、シーリング

主な論文

  • Early post-mortem formation of carbonate concretions around tusk-shells over week-month timescales, Scientific Reports, 5-14123, (2015).
  • Long-term behavior of hydrogeological structures associated with faulting: An example from the deep crystalline rock in the Mizunami URL, Central Japan, Engineering Geology, 208, 114-127, (2016).
  • Use of fracture filling mineral assemblages for characterizing water-rock interactions during exhumation of an accretionary complex: An example from the Shimanto Belt, southern Kyushu Japan. Journal of Structural Geology, 87, 81-94, (2016).