1. HOME
  2. 「摘便バッグ」による排泄ケアのイノベーション

「摘便バッグ」による排泄ケアのイノベーション

  • 医学部/医学系研究科
  • 看護学専攻
  • 健康発達看護学
  • 在宅看護学/がん看護学

教授 前川 厚子[まえかわ あつこ]

http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100003216_ja.html

シーズの概要

頑固な便秘患者や寝たきり療養者においては、自力で排便ができなくなることがある。この際、医師の指示に基づき、“摘便”が実施される。摘便とは、肛門から指を入れて排泄物を出す方法であり、日常的看護行為になっている。肛門装着型「摘便バッグ」は、便臭制御や感染予防に繋がり、より安全・快適なケアを提供できる製品である。

この研究の新規性・独創性

数日間、腸管に停滞した頑固な便は、排泄処理時に強い臭気を放つ。病院処置室の便臭は診療の妨げになる。看護師は、ゴム手袋を重ね使いして患者の肛門から指を挿入し、便を掻き出し紙おむつに拭い取る。紙おむつは防臭と感染予防のために丸めてしまう。紙おむつを排泄物の性状観察や測定をせずに、丸めて捨ててしまうことが課題になる。栄養や病態マネジメントが必要な患者では、IN-OUTバランスを正確に評価するうえで計測は欠かせない。
このたび、特許出願後、JST助成を受けて、宇都宮製作(株)と名古屋大学が連携して肛門周囲皮膚にやさしく密着し、排便ケアができる“摘便バッグ”を提案し、新たな排便管理技法を開発した。(特許取得2014年6月)
・粘着部:ポリウレタンジェル(24hr皮膚安全性試験実施済み)
・バッグ部:新開発ポリエチレンフィルム

産学連携を目指した応用研究

形状、防臭性、内容物の視認性などの評価・検討を行い、量産試作品の完成に至っている。現在、販売に向けて最終の調整をおこなっており、2015年春には宇都宮製作(株)より販売開始の予定である。
“摘便バッグ”は以下の点で看護技術課題の基本的な改革に結びつくであろう。
1)防臭性があり、患者とケア提供者双方に快適性、安全性を提供できる
2)肛門周囲の皮膚・粘膜を保護しながら排便誘導できる
3)便汚染による感染リスクを低減させる
4)排泄物の的確な観察による健康管理支援ができる
5)摘便ケアのコストパフォーマンス向上に結び付く
“摘便バッグ”の製品化により看護、介護現場の負担を軽減し、科学的根拠のあるケアへと医療技術の革新をもたらすものである。閉鎖式摘便ケアは、従来の開放式技術に代わる新たなケアとして教育され、排泄看護の実践現場に定着するであろう。

一言アピール

排便機能障害に苦しむ患者は多い。超高齢寝たきり療養者だけでなく、肝炎やAIDSなどの感染症患者、モルヒネの内服がん患者なども強い便秘傾向になる。“摘便バッグ”は、便通コントロールが必要なすべての患者のために臭気を遮断し、感染予防の役割をもつ医療用品として密やかに浸透し、重宝されていくであろう。
摘便は医師の指示に基づく医療処置(診療報酬100点)なので、流通は医療マーケットに限定されるが、便通異常相談外来、在宅医療や訪問看護、高齢者入所施設などで有用性のテストをしていただければ幸いである。

キーワード

排泄ケア、ストーマケア、フットケア、創傷マネジメント、在宅ケア、がん看護、終末期ケア

保有技術

  • ストーマケア
  • 創傷、オストミー、排泄看護

主な機器

  • 摘便バッグ

主な特許

  • 特許第5544612号「摘便バッグ」