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人間動作解析技術および次世代ロボットとの干渉によるリスク見積もり技術の開発

  • 工学部/工学研究科
  • 機械システム工学専攻

教授 山田 陽滋[やまだ ようじ]

http://www.mech.nagoya-u.ac.jp/asi/ja/

シーズの概要

人間と共存して彼らに直接サービスを行う次世代ロボットに対する安全に係る研究の中で,擦れ(皮膚の損傷)ハザード,衝撃ハザード,転倒ハザード等,とくに人間の運動に起因するロボットとの干渉をテーマとして研究を展開してきており,必要な技術の開発を指向している.
(1)装着型ロボットの安全技術
装着部品と皮膚の擦れ状態をダミーによって再現し,擦れによる皮膚創傷リスクを評価する装置を開発している.実使用状態の計測結果に基づいた接触部の摩擦,作用力,姿勢をマニピュレータによってダミー皮膚に対して動的に再現し,その際の皮膚に加わる負荷を計測することで皮膚損傷のリスクを見積もる.
(2)歩行・転倒分析技術
人間の歩行安定性や歩行の特徴,つまずき時の挙動を分析し,装着型ロボットの評価方法を開発している.トレッドミル・歩行レーン等を用いて歩行・転倒時の人体各部の動作・力・筋電位等を計測し,モデル・シミュレータを用いて動作分析を行うと共に,動作に影響を与えるパラメータの検証を行う.
(3)工場における人間・ロボット協調生産の安全技術
人間・ロボット協調系において,過度に生産性を低下させることなく,両者の接触を避ける技術を開発している.人間が危険を回避する行動をとることを陽に考慮し,従来よりも高い生産性を実現する.

この研究の新規性・独創性

(1)装着型ロボットの安全技術
装着型ロボットは歴史の浅い製品であり,その安全性評価方法は未成熟である.類似した装着形態は装具に見られるが,負荷量が大きく異なるため,新規の評価手法が求められる.本手法は人体へのリスクを許容水準以下に抑えながら装着型ロボット使用に伴うリスクを見積もることができる.また,ロボットを長期間使用する必要がなく,被試験者側の負担が少ない.
(2)歩行・転倒分析技術
人間の歩行・転倒分析は多くおこなわれているが,装着型ロボットとの動作不整合は新たな転倒要因となりうる.また,ロボットによる動作の制約や体性感覚の変化も動作に影響すると予想される.こうした点を踏まえ,実用上重要な,ロボットの影響の具体的・定量的な評価に取り組んでいる.また,実験困難な転倒時の負傷についても,実験結果の外挿シミュレーションによる見積もりが可能である.
(3)工場における人間・ロボット協調生産の安全技術
われわれの手法は,接近するロボットアーム等を回避しようとする人間の確率的な回避行動の調査に基づいている点に特徴がある.従来は,経験的かつ曖昧に見積もられていた回避行動を厳密に計測・定式化し,人間・ロボット協調系のより正確なリスク見積りと低減をする.

産学連携を目指した応用研究

(1)装着型ロボットの安全技術
装着型ロボットによる皮膚創傷リスクは装着型ロボットの開発における課題であり,本研究により,装着による短期・長期的なリスクを評価することで開発の進展が見込まれる.また,試験に際してのロボットの占有時間および試験時間を短縮することができ,開発の加速が期待される.
(2)歩行・転倒分析技術
転倒は歩行中のリスクの中でも大きな危害が予想されるものであるが,日常的に発生する可能性がある.そのため,転倒に対する装着型ロボットの寄与を明らかにし,その影響を十分に抑制することが求められる.本研究では,そうした装着型ロボットの機械的あるいは制御上の特性と転倒リスクの関係を明らかにし,転倒リスク低減に寄与することが期待できる.
(3)工場における人間・ロボット協調生産の安全技術
個々の企業の生産態勢に併せて,安全性を維持しながら,生産性を向上させるロボットの動作戦略の開発が共同研究課題の候補となる.また,その実現のために必要なセンサ開発にも取り組む.

一言アピール

人間共存型次世代ロボットの中でも、とくに市場創出あるいは拡大が見込まれる産業用ロボット、ウェアラブルロボットそれぞれを対象としたリスク評価に関する解析および総合技術の構築を目指しています。

キーワード

"人間動作外挿シミュレーション"、"マルチボディ動力学解析"、"接触安全評価"、

保有技術

  • 人間動作解析技術
  • 生体信号解析
  • 接触運動解析・再現技術

主な機器

  • モーションキャプチャーシステム,レオメータ,接触状態再現装置

主な論文

  • 吉田剣吾, 山田陽滋, 秋山靖博, 原進, 岡本正吾, “装着型ロボットによる創傷リスク見積もりのための妥当性確認試験装置の開発,” 第20回 ロボティクス・シンポジア, 5D2, 2015.
  • Yasuhiro Akiyama, Ikuma Higo, Yoji Yamada, and Shogo Okamoto, “Analysis of Recovery Motion of Human to Prevent Fall in Response to Abnormality with a Physical Assistant Robot,” 2014IEEE International Conference on Robotics and Biomimetics, pp. 1493-1498, 2014.
  • Yasuhiro Akiyama, Shogo Okamoto, Yoji Yamada, and Kenji Ishiguro, ”Measurement of Contact Behavior Including Slippage of Cuff When Using Wearable Physical Assistant Robot,” DOI10.1109/TNSRE.2015.2464719, IEEE Transactions on Neural Systems and Rehabilitation Engineering, 2015.
  • Takama Hattori, Yoji Yamada, Shogo Okamoto, Shuji Mori, and Shunsuke Yamada, “Characteristics and individual differences of human actions for avoiding harm to eyes from a robot,” Journal of Robotics and Mechatronics, vol. 26, no. 3, pp. 358-368, 2014.