モノづくりワークショップ『具現化ソン』@未来展2015 宇治原徹教授 特別インタビュー

  • 2015/04/24
  • 共感工学ラボ
  • 宇治原徹教授
  • ワークショップに参加した学生・企業の皆様

名古屋大学共感工学ラボの宇治原徹教授は、モノづくりの原点は、私たちが共感し合える新しい価値を創出するところにあるとし、モノづくりワークショップ「具現化マラソン="具現化ソン"」を展開しています。この度、具現化ソンは、学生のアイデアと企業の技術をつなげるべく、2015年3月25日~26日に開催された「未来展2015(主催:中部産業連盟と中日新聞、於:吹上ホール)」に出展しました。
「共感工学的な価値創出システム」を提唱する、具現化ソン主宰の宇治原徹教授が抱くビジョンを取材し、ワークショップに参加した学生・企業の皆様の声をまとめました。

(聴き手:梅村綾子/NU Research)

~アイデアからモノづくりまで~

**「具現化ソン」ワークショップについて**

数あるワークショップの中でも、「具現化ソン」が目指していることはどんなことですか?
宇治原教授

世界中そして日本でも、実に多くの方々が、学生のベンチャー起業力やアントレプレナー魂を育てようと活動されています。我々も、学生らが自らの力で、社会のニーズを捉えて、社会の役に立てるようになることを目標に活動してきました。

一般的なワークショップでは、社会のニーズから出たアイデアの構築後にビジネスモデルを考えます。しかし、工学部の私の観点から、一つ大きな疑問に気付きました。アイデアとビジネスはあるがモノがない、つまりを一体商売するのか、ということです。アイデアを持っている人と技術を持っている人は必ずしも同じではなく、更には、別のところにいるのかもしれません。

宇治原教授:

「あいち」は、モノづくりの中心地です。学生の柔軟な発想力と企業の技術力を上手くつないで、そこから新しいものを生み出していく、そんなワークショップを目指しています。

**今回の、「具現化ソン」ワークショップ@未来展2015について**

今回、学生さんと企業様は「具現化ソン」で、どんなことをやってきたのですか?

*****「具現化ソン」ワークショップ@未来展2015の詳細*****

テーマ「未来の価値をつくる! ~地下編~」

大学生らで構成される5グループ(6名/1グループ)が
全4回のワークショップでアイデアを具現化する:

  • 第1回(3月12日)栄地区の地下空間に実際に出向き、共感工学的思考から「こんなのがあったらいい」と思える道具を想定。
  • 第2回(3月20日)企業の方へ紹介できるように、プレゼン用CMを作成。
  • 第3回(未来展2015出展1日目)企業の技術や技術的アドバイスを受けながら、実際のモノづくりプロセスへ発展。
  • 第4回(未来展2015出展2日目)プロトタイピングまで展開。

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宇治原教授:

この「具現化ソン」ワークショップは、全4回で開催されました。テーマを「未来の価値をつくる! ~地下編~」とし、第1回(3月12日)は、地下空間を実際にあちこち歩いて、観察して・・、と現場である「地下」がどんなことを求めているか、探しに出掛けました。第2回(3月20日)は、どういうことが本当の課題か、どういう価値を提供すればその課題は解決されるのか、そして、それにはどういうがあり得るのか、を皆で話し合いました。

宇治原教授:

第3回と第4回(3月25日、26日)は、色んな企業が出展している場である未来展2015で、学生らは、皆で考えたアイデアをにするには、どんな技術が必要か、実際に企業の方々に学生らのアイデアの裏付けとなる技術を紹介してもらいながら、プロトタイピングまで展開させていきました。

学生らのアイデアに対して、
企業様より技術面におけるコメントを頂きました:

宇治原教授:

たった4日間のワークショップですから、最終プロダクトを見ることは不可能です。しかし、この地域のどこかの企業技術が活かされたプロトタイプを作成した、ということで、学生×企業の新しいつながりをこの地域から発信できた、と思っています。



**宇治原教授が想い描く「未来」とは**

宇治原教授が、未来に向けて描く想いは、どんなことですか?
宇治原教授:

今回のワークショップを通し、学生のアイデアと企業の技術力をつなげることで、今すぐ実現できそうな作品、そして、新しい研究につなげるきっかけとなる作品が生まれました。私も、大学で学生と研究を進める中でいつも気付かされるのですが、素晴らしい科学技術の発展には、学生が起点となっていることが多いです。

学生のアイデアや気付きは、企業の技術展開とは異なるフィールドにあると思います。しかし、だからこそ、学生と企業の、それぞれの異なるフィールドを掛け合わせることで、モノづくりの原点ともなるべき、新しい価値を創出できるシステムが構築されていくことを願っています。

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