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ハイライト論文

人の健康に大切なミトコンドリア:その機能を支える脂質の作り方

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  • 2013/06/03

名古屋大学大学院理学研究科生物科学研究室(遠藤斗志也教授)の田村康准教授と大学院生の原田佳宗氏を中心とした研究グループ1は、ミトコンドリア内膜のタンパク質Tam41が、若さと長寿の鍵を握るミトコンドリアに必要な成分「カルジオリピン」をつくる合成酵素であることを発見しました。この研究成果は4月25日に学術誌Cell Metabolismの電子版に掲載されました。

人体は無数の細胞によって形作られ、その一つ一つの細胞の内部には高度に発達した膜構造が存在します。ミトコンドリアはこのような細胞内膜構造の一つで、生命活動に必要なエネルギーを作り出し、人の健康に深くかかわります。ミトコンドリアが正しく働くためには、ミトコンドリアの膜を構成する様々な種類の脂質が、適切な割合で存在することが大切です。またミトコンドリアは環境に応じて、その量をダイナミックに変化させますが、この際にもミトコンドリアの原料となる脂質が正しく製造される必要があります。特に、ミトコンドリア内で作られる脂質「カルジオリピン」はミトコンドリアの機能に非常に大切です。しかしながらこれまでミトコンドリア内でカルジオリピンを作り出す酵素は特定されていませんでした。

今回研究チームは、Tam41がミトコンドリア内でカルジオリピンを作るために必須の酵素であることを発見し、これが無いと細胞の増殖がとても遅くなることを示しました。一方で、Tam41が欠損した細胞の増殖を助けるタンパク質を発見し、細胞にはカルジオリピンが作り出せなくても元気に成長できるバックアップシステムを持つことを明らかにしました。今後研究をさらに進めることで、カルジオリピンをうまく合成できないことが原因でひき起こされる疾患の治療に貢献できるかもしれません。

1.九州大学大学院理学研究院、産業技術総合研究所生命情報工学研究センターとの共同研究。

田村康准教授

ミトコンドリアの膜を構成する脂質が、適切な組成を維持する仕組みに興味を持ち、ミトコンドリアの脂質に関する研究をはじめました。これまで、ただ1つのカルジオリピン合成酵素がミトコンドリアと小胞体の両方で働くと信じられていましたが、学生の時にタンパク質輸送の研究していた経験から、この説に疑問を持ちました。そこで実際に自分で実験をして確かめたところ、定説が正しくない事を確信し、今回の発見につながりました。

今後の展望

誰もまだ見た事がない生命現象を一番に発見する感動を、できるだけ多く経験して、それをたくさんの人と共有していきたいです。

これから研究する人へ一言

研究者は科学と言う共通言語を操って、世界中の人と同じ目線でコミュニケーションできるグローバルで、スケールの大きい職業だと思います。一生は一回しか無いので、できれば小さくまとまらずに生きたいな、と思っている人にはオススメです。





参考

研究成果情報
田村康准教授情報

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