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ハイライト論文

二者間攻防の基本パターンはわずか6個

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  • 2013/09/10

名古屋大学総合保健体育科学センターの山本裕二教授を中心とした研究グループは、剣道における二者間の動きと間合いのパターンを解析し、習熟度の差によって生まれる行動の違いを明らかにしました。この研究成果は94日付でPLoS ONEに掲載されました。掲載されました。

人は日常生活の中で、常に次の動作を判断し、連続的に動いています。しかし予測が難しい状況下で人がどのように次の動きを瞬時に決定し、実行しているのか、そのメカニズムは解明されていませんでした。

山本教授を中心とする研究グループは、対人競技において人間の素早い判断と実行がどのように行われているのかを調べました。同グループは5分間の剣道の試合を24試合撮影・解析し、二者間の距離とその速度を求めました。(剣道チームの中でトップレベルに属する選手とそれに準ずる選手各6名が、同じレベル同士で対戦。) その結果、複雑に見える素早い攻防が、実際はわずか6個のパターンの切り替えで成り立っていることが明らかになりました。この6つのパターンが2者間攻防の基本であり、これらのパターンの切り替えが複雑に見える無数の動きを生み出すことがわかりました。さらに、これら基本パターンの組み合わせから,攻防は「遠い間合いでの素早い攻防」と「近い間合いでのゆっくりした攻防」の2種類に分類され、トップレベルに属する選手は前者を、それ以外の選手は後者を好むことが解析の結果明らかになりました。したがって、剣道の実力の差は持っているパターンの違いではなく、パターンの使い方の差異で生じる攻防スタイルの違いであることがわかりました。今回の研究成果はスポーツの現場で戦略的に用いられることはもちろんですが、人間の判断とそれを実行するメカニズムの解明、また行動パターン分析にもとづいた緊急時の対応につながることも大いに期待されています。

山本裕二教授

私たちは予測不能な環境の中で,大変複雑な運動をいとも簡単に行いながら毎日の生活を送っています。その複雑に見える人間の身体運動に潜む規則性を求めて,テニス,サッカー,鬼ごっこ,剣道など,スポーツ場面での行動に着目し研究を進めています。そこにはどうも,いくつかの数少ないパターンがあり,私たちはその数少ないパターンを次々と切り替えながら,複雑に見える動きを生み出しているようです。この単純な規則から生み出される複雑な動きに,動きの美しさを感じ,私たちは魅了されます。

今後の展望

様々な自然現象,生命現象と同じ規則性が,人間の行動にも潜んでいるかもしれません.スポーツを通して見える人間の複雑な振る舞いには,まだまだ多くの謎が残されています。そしてその謎を解き明かしていくことが,広く人間の理解に結びつくものだと信じています。

これから研究を始める人へ

私たちは,自分の振る舞いについて意外と気づいていないものです.からだの動きだけでなく,こころの動きにも目を向ければ,「当たり前」と思っていることが「当たり前」ではないと気づくこともあるのではないでしょうか.研究は,「できるか,できないか」ではなく,「やるか,やらないか」だと思います。



参考

研究成果情報
山本裕二教授情報

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