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特集

第2回名古屋大学医学部・生理学研究所合同シンポジウム

  • 2011/09/28
今回は、2011年8月20日に開催されました第2回名古屋大学医学部・生理学研究所合同シンポジウムを特集いたします。シンポジウムでは、両機関における最先端の医学・生理学系の研究が発表されました。その中で、特に名古屋大学医学部の貝淵教授と室原教授の基調講演に焦点をあてました。

2011年8月20日名古屋大学医学部中央診療棟3階講堂において、最先端の研究情報の交換と連携強化を目的として名古屋大学医学部と自然科学研究機構生理学研究所が合同で「第2回名古屋大学・生理学研究所合同シンポジウム」を開催しました。 シンポジウムでは、最初に名古屋大学医学系研究科祖父江元研究科長と自然科学研究機構生理学研究所岡田泰伸所長の挨拶が行われました。挨拶に引き続いて4件の基調講演が行われました。名古屋大学医学部からは、貝淵弘三教授が「蛋白質リン酸化の網羅的解析法の開発と展望」という題で、室原豊明教授が「血管再生療法の基礎と臨床」という題で、それぞれ講演を行いました。

貝淵弘三教授は、タンパク質リン酸化の解析手法に関して講演を行いました。タンパク質リン酸化とは、特定のタンパク質(これをタンパク質基質といいます)に特定の酵素(化学反応を活性化させるもの)が作用することで、リン酸基と呼ばれる化学物質がそのタンパク質基質に付加される化学反応を指します。この化学反応は、生物の細胞内において、細胞の増殖等をはじめとする細胞活動を制御する信号として使われ、生命活動において非常に重要なものになります。したがって、そのメカニズムを解明することは医学・生物学などの分野において大きな研究テーマになっております。しかしながら、タンパク質リン酸化の酵素については500種類以上の物質がヒトゲノム内で発見されていましたが、その酵素に対応して、どのようなタンパク質基質が反応するのかについては一部酵素に対応するものを除いてほとんど未解明の状況でした。 そのような状況下、貝淵教授のグループでは、タンパク質基質の候補となる分子を特定するために、質量分析装置を使ったタンパク質リン酸化酵素の基質スクリーニング法を開発することに成功しました。さらに、開発した手法を、細胞増殖、血管収縮など細胞の多彩な機能に関連する「Rho-kinase」とよばれるタンパク質リン酸化酵素に対応するタンパク質基質候補の発見に応用し、多数のタンパク質基質候補分子を特定したことが発表されました。そして、今回の実験対象であるRho-kinase以外の酵素によるタンパク質リン酸化反応におけるタンパク質基質候補の特定にも使用することが可能であり、タンパク質リン酸化反応の網羅的な解明に寄与するものであることが報告され、今後の応用が期待されています。

室原豊明教授は、血管再生療法に関する講演を行いました。重症動脈硬化症により生じる虚血性疾患では、病変が進行すると通常のバイパス手術やカテーテル治療を施すのが困難になり、その他の治療法の確立が求められていました。その治療法として注目されてきたのが「血管再生療法」です。これは、細胞移植を通じて毛細血管を再生させ、症状を和らげたり脚の切断を免れたりさせるものです。これまでに、イヌやウサギを対象とした遺伝子治療が開発されておりますが、人間に対する臨床実験ではよい結果が示されず、新たな手法の開発が求められておりました。 そのような中室原教授のグループでは、血管を構成する内皮細胞に分化できる内皮前駆細胞と呼ばれる細胞が骨髄に由来することに着目し、患者自身の骨髄中の骨髄単核球細胞と呼ばれる細胞を分離し、患者の虚血患部に移植することで血管再生が可能であることをつきとめました。講演では、動物実験でこの手法の有効性を確認後、臨床応用を行っており、Burger病など他に有効な治療法が少ない血管系の難病にも手法が有効であることなどが報告されました。最近では、間葉系幹細胞と呼ばれる細胞の移植を用いた血管再生療法の臨床応用もすでに開始されているとのことで、さらなる研究の進展が注目されます。

シンポジウムでは、他にもポスターセッションや名古屋大学医学部先端医療・臨床研究応用センターの施設見学が行われ、最先端の研究成果に関する情報交換が活発に行われました。

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