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日本語教育のイノベーション

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  • 2017/05/08

国際機構

辻篤子特任教授(「名大ウォッチ」より転載)

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 日本語による日本法教育を行っている名古屋大学日本法教育研究センター(Research and Education Center for Japanese Law 、略称CJL)が2006年秋にモンゴル国立大学に開設されて10年、それを記念する式典が今年3月、ウランバートルにある同大学で開かれた。参加して強い印象を受けたのは、学生たちの見事なスピーチだ。
 主催者である大学の責任者や来賓の挨拶はそれぞれ通訳がつく一方で、学生たちは短く区切りながらまずモンゴル語で、次いで日本語で話した。最初に登場したバトオルシフさんは4年生。「日本の法律とモンゴルの法律の両方を学ぶことで、批判しながら考える習慣が身についた」としたうえで、「自分が世界の中心だと思っていたが、決してそうではなく、自分の弱点を知って直すことを大切にするようになった」と述べた。やはり4年生のアムガランバータルさんも同様に「モンゴルの法制度を相対的に見る目を養うことができた」とし、現役の学生としてはもう一人、5年制のモンゴルの大学で最上級生に当たる5年生のガンフレルさんも「モンゴル法が正しいと思っていたが、必ずしもそうでないことを学んだ」と述べ、続いて日本文化に触れた経験などを語った。


モンゴル日本法教育研究センター開設10周年記念式典でスピーチする学生たち


3人は、二つの国の法律を学ぶことで自らを相対化する視点を得たと口をそろえた。彼らのスピーチに耳を傾けながら思ったのは、自らを相対化できるようになることは、大学教育の大きな目的ではないか、ということだった。それを身につけ、そしてそのことを英語できちんとスピーチできる大学生は日本にどれだけいるだろうとも思わずにいられなかった。
 もっとも、彼らはモンゴルでトップクラスの学生であることは間違いない。モンゴル国立大学の法学部に所属し、そのカリキュラムをこなしながら、平行して日本語で日本法を学ぶ。普通の法学部の学生に比べて圧倒的な勉強量が求められる。実際、その厳しさに落伍していく学生も多い。現在の学生数は1年生が16人、2,3,4年生が9人、5年生が4人と、学年を経るにつれて減っていることからも厳しさがわかる。 >>「名大ウォッチ」で続きを読む。


辻篤子(つじ あつこ):1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。


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