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サマルカンドで遭遇した日本語熱

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  • 2017/06/16

国際機構

辻篤子特任教授(「名大ウォッチ」より転載)

 シルクロードの要衝の地であり、学問や文化の中心としても栄えたウズベキスタンの古都サマルカンド。ソウルで飛行を乗り継いでタシケントまで約7時間、さらに車で約4時間、はるか彼方の中央アジアの町で、日本にあこがれる日本語専攻の学生たちに出会った。私たち名古屋大学の一行に対して彼らが口々に訴えたのは、日本人の先生から日本語を学びたい、ということだった。いったいどういうことなのか。そして、私たちにできることはあるのか。

 ウズベキスタンの首都タシケントには名大の事務所があり、アジアにおける拠点の一つとなっている。2年前に両国政府のトップがタシケント工科大学にイノベーションセンターを作る計画で合意し、名大はその実現に向けての幹事役を務めている。その関連で大学など関係機関を訪ね、研究者交流のための打ち合わせをすることが今回のミッションの大きな目的だった。
 日本語専攻の学生たちに会ったのはサマルカンド国立外国語大学だ。日本語コースの人気が高く、2000人弱の学部学生のうち、220人が日本語を学び、うち80人は第一外国語として学んでいるそうだ。1998年以来、ボランティアの日本人教師が教えに来ており、最近は国際協力機構(JICA)がボランティアを派遣してきたが、昨年3月で途絶えてしまい、現地の先生6人だけで教えているという。
 トゥフタシノフ学長は、日本の大学などとの協力も含め、日本語教育の現状と将来への希望について話し、とりわけ今必要なのは日本語を教えてくれる日本人の先生だとした。続いて学生たちも活動を紹介するプレゼンをし、ぜひ日本人の先生をと結んだ。
 なぜ、そんなに日本語の人気が高いのか。学生たちに尋ねると、ネットで見たアニメで日本が好きになった、日本文学に関心がある、あるいは、日本の大学に留学して経済や法律を学びたい、といった答えが返ってきた。卒業後に観光関係の仕事をしたいという学生もいた。観光地を訪れる日本人観光客に話しかけたりガイドを買って出たりして日本語の練習をする高校生たちも多いという。

サマルカンド外国語大学の日本語専攻の学生たちが集まってくれた


 ウズベキスタンはもともと、親日的な国だ。シベリアから送られた日本人抑留者が強制労働に従事したが、勤勉で礼儀正しいと好感をもって受け止められた。日本人が建設に参加したタシケントのナヴォイ劇場は地震でも壊れなかったと今も語りぐさだ。
 2000年代の初めにJICA専門家として滞在した市橋克哉・法学部教授によれば、当時NHKのドラマ「おしん」が放映されており、頑張って一代で財をなした主人公がウズベキスタンの女性に似ていると、とりわけ女性に大人気だったという。長幼の序を重んじ、皆で集まって仲良くお茶を飲むなど文化的にも似ていて親近感を持たれた。そんな古きよき時代のイメージの一方で、最先端技術の国でもある、それが相まって日本の好印象につながっているのでは、という。>>「名大ウォッチ」で続きを読む。

辻篤子(つじ あつこ):1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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