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「たかが、されど」の大学ランキング

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  • 2017/12/22

国際機構

辻篤子特任教授(「名大ウォッチ」より転載)

 世界大学ランキングに注目が集まっている。この秋の発表では、国内トップの東大は前年の39位から46位へと順位を下げ、新聞各紙には「過去最低」という見出しが躍った。10年前は17位、アジアでは首位だったが、今回はシンガポールや中国、香港の5大学に続く6位にとどまった。次の京大は91位から順位を上げて74位、続く阪大、東北大は201-250位、東工大251-300位、名大301-350位という結果だった。ちなみに、名大も10年前は国内では今回同様6位、世界112位だった。日本の大学にとっては不本意な結果だろう。

 だが、論文の数や引用に関するデータから見れば、日本の研究活動は1997年をピークに国際的なシェアが落ちてきている。大学への公的資金の減少は海外からも指摘され、また、国際化という点では欧米だけでなくアジア諸国の大学にも遅れをとっている。そうした状況を考えれば、日本の大学の地位が下がってきていることは、さほど驚くことではないかもしれない。

 こうした結果をどう受け止めるのか。そもそも大学ランキングとは何なのか。


名古屋大学は「世界屈指の研究大学」をめざしている。


 ここにあげたのは英国のタイムズ紙の別冊「高等教育」(THE)のランキングで、最も影響力が大きいとされ、2004年に始まった。同年開始のやはり英国のクアクアレリ・シモンズ社(QS)によるランキング、前年の2003年に上海交通大学が始めた世界大学学術ランキング(ARWU)と合わせて世界の三大ランキングと呼ばれるそうだ。この10年ほど、一般紙が取り上げるなど日本でも話題になり始めた。

 こうしたランキングに対し、批判や疑問の声は多い。「多種多様な世界の大学を同じ尺度で数値化・序列化するランキングは、『妥当性も、厳密さも、意味のある価値もない』と批判されてきた」と石川真由美阪大教授は「世界大学ランキングと知の序列化」(京都大学学術出版会)で指摘し、「極端に単純化された指標による大学序列化は、日本のような非英語圏において特に大きな問題をはらむ」と批判する。

 苅谷剛彦 オックスフォード大教授も著書「オックスフォードからの警鐘」で、「英語圏の国々のマーケティング戦略に日本はまんまと巻き込まれている観が否めない」とする。教育のグローバル化というが、今世紀に入って急増しているのは中国からの留学生で、英国ではその受け入れが外貨獲得の手段として政府の重要政策として位置づけられた。その中で登場したのが大学ランキングであり、上位には米英の有力校がずらりと並んでいる。その「正体」をきちんとみないままの政策議論の危うさを強く警告している。政府が2013年、成長戦略の一環として「今後10年で100位以内に10校以上」という政策目標まで掲げたことなどは、まさにその例だろう。>>「名大ウォッチ」で続きを読む。


辻篤子(つじ あつこ):1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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