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「女性研究者よ、幸せであれ」

  • 2018/03/27

国際機構

辻篤子特任教授(「名大ウォッチ」より転載)

3月末で定年退職する未来材料・システム研究所の楠美智子教授は、名古屋大学の工学系で唯一の女性教授だった。大学時代の恩師に「あなたはがむしゃらさが足りない」と言われたこともあり、「はっきりした意思を持って続けてきたというより、この分野が好きでなんとなく続けてきたという感じが強い」と振り返る。子育てのために2度、研究を離れた。しかし、その都度、請われて研究現場に戻ってきた。カーボンナノチューブやグラフェンなど炭素でできた新素材の研究で実績を重ね、民間の研究所から名古屋大学に転じたのは2007年だ。最終講義は、がむしゃらならぬ、「しなやかにナノカーボンの創製を求めて」と題し、学生たちと一緒に研究できたことが楽しかったという名大での11年について静かに語った。
講義後、工学系女性教員一同を代表して応用物質化学専攻の鳴瀧彩絵准教授が花束を贈り、女性教員の少ない工学系で後輩たちを支えてくれたことに感謝の言葉を述べた。
2011年の世界化学年に寄せて、「女性科学者よ、幸せであれ」と題した原稿を学会誌に書いた楠さんは、幸せそうに研究している姿を見せれば、後に続く女性は必ず出てくるという思いですごしてきたという。


工学研究科の女性教員たちは定期的に昼食会を開いている。この日は楠美智子教授(後列右から3人目)の定年を祝うため、ほぼ全員が出席した。楠さんの前が鳴瀧彩絵准教授(3月16日、NIC館で)


楠さんは静岡県の女子校から東工大の工学部に進んだ。文系に進む生徒がほとんどという環境で理系の大学に関する情報はほとんどないまま、数学や物理が好きだという理由で選んだ大学だった。行ってみれば、まるで工場のようだし、男性ばかり。しばらく後悔していたが、4年生になり、電子顕微鏡回析学の研究室に配属されて自分の机をもらい、初めてほっとしたという。
 卒業したら郷里に戻って結婚しようかと考えていたところ、研究室の先輩が亡くなって電子顕微鏡を運用するメンバーがいなくなり、恩師に博士課程への進学を勧められた。迷ったが、結局、何とかなるかと進学した。>>「名大ウォッチ」で続きを読む。


辻篤子(つじ あつこ):1976年東京大学教養学部教養学科科学史科学哲学分科卒業。79年朝日新聞社入社、科学部、アエラ発行室、アメリカ総局などで科学を中心とした報道に携わり、2004〜13年、論説委員として科学技術や医療分野の社説を担当。11〜12年には書評委員も務めた。2016年10月から名古屋大学国際機構特任教授。

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