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ハイライト論文

ハイブリッドエンジンで動く大腸菌: 遺伝子組み換えでイオン環境に対応可能なべん毛モーターを実現

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  • 2014/03/25

名古屋大学大学院理学研究科の本間道夫教授を中心とした国際研究グループは、大腸菌の運動器官であるべん毛を、水素イオン・ナトリウムイオン両方を動力源として動かすモーターの機能解明に成功しました。この研究成果は2月17日付でPNASオンライン版に掲載されました。

バクテリアはべん毛と呼ばれる構造を回転させることで推進力を生み出し移動します。通常大腸菌のべん毛は水素イオンが移動する力を利用して動き、毎分2万回回転して駆動力を得ます。非常に高い回転速度を持ちながらも小回りが利く等、現在の人間の技術では作り出せないほどの高性能な能力を自然に備えています。べん毛モーターと人工モーターの構造には共通点が多く存在するため、前者の研究は後者の開発・改良にもつながると考えられています。

これまで本間教授の研究グループは、大腸菌とビブリオ菌(病気を起こすコレラ菌の一種)を組み合わせてキメラを作り出し、ナトリウムイオンを動力源とするべん毛を大腸菌で発現させることに成功していました。今回、同グループはナトリウムイオンを利用して回転エネルギーに変換する遺伝子を大腸菌に組み込み、水素イオンとナトリウムイオンの両方を利用できるハイブリッドなべん毛モーターを作り出しました。この時、べん毛は水素イオンの多い環境では水素イオンを、ナトリウムイオンの多い環境ではナトリウムイオンを動力源とし、環境変化に合わせてチャンネルを切り変えて機能することがわかりました。これはハイブリッドカーが走行条件によってガソリンエンジン・電気モーターのどちらか一方に切り替えたり、両方を利用したりするようなものです。この研究成果は将来人工的なナノマシンの設計に貢献することが期待されています。

本間道夫教授

本間道夫教授は様々な研究機関でバクテリアや真菌、べん毛について研究してきました。大学院生時代の恩師がべん毛の研究をしていたことが現在の研究テーマにつながっているそうです。国内外の様々な分野の研究者と協力しながら、生物の運動器官のメカニズム解明を目指しています。

今後の展望

ばい菌がべん毛で泳ぐ仕組みを研究していると言うと、そんなことを研究して何になるのという反応が一般的なような気がします。生命体が運動するためのエネルギー変換機構を明らかにして、役に立たないかもしれないが、面白い研究だと思わせたい。研究室に配属された学生に、本当に面白いと思わせるのも大変です。

これから研究を始める人へ

生きる意味とは何なのかという疑問から、生物を理解する必要があると思い、大学で生物を学びたいと思い進路を決めました。たまたま出会った大学院での研究テーマをある意味、惰性で続けています。はじめから面白い研究などはない。いかに面白い研究に自分で育てるかだと思います。そして、生命の謎解きを楽しんで欲しいと思います。

参考

研究成果情報
本間道夫教授情報

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