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ハイライト論文

宇宙に届く気象:台風の波紋を発見

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  • 2014/02/24

名古屋大学太陽地球環境研究所鈴木臣特任助教を中心とした研究グループは、台風によって生じる大気の波が高度85kmの超高層大気にまで及ぶことを発見しました。この研究成果は1119日付でGeophysical Research Lettersオンライン版に掲載されました。

超高層大気とは、飛行機が飛行する高さ10kmのはるか上空およそ高度80km以上の大気で,電離圏と呼ばれるプラズマ(電離大気)が混ざった高度になります。電離圏には電波を跳ね返す性質があり、このおかげで私たちは遠方と通信することができます。電離圏が乱れた場合、通信に障害が生じたり、人工衛星の利用に支障をきたしたりします。地球と宇宙の境界面である超高層大気を研究することは、通信の安定的利用、また地球の大気環境の長期的変化を予測するために重要です。これまで超高層大気の乱れの原因について様々な研究がされてきましたが、地球の下層大気の変動が超高層大気に与える影響については分析が進んでいませんでした。

鈴木特任助教の所属する名古屋大学太陽地球環境研究所は、超高層大気に現れる非常に微弱な大気の光(大気光)を撮影・可視化する拠点を多数持ち、大気光の観測・研究を世界的にリードしてきました。大気光は大気中の原子や分子がエネルギーを発散する時に発光する現象であり、これを観測することで目には見えない大気の動きを知ることができます。鈴木特任助教は複数拠点で得られた同時観測データを組み合わせ,これまでにない広さをカバーした解析環境を構築し、20021210日に日本の南東に位置する太平洋上の1点を中心として大気光が同心円状に波打つ現象を発見しました。さらにその中心には123日に発生した台風26号があり、それによって生じた大気の振動が上空に伝わり、結果的に高度85kmの大気にも影響を及ぼしたことがわかりました。この波はさらに上空の電離圏、また宇宙にまで届いた可能性があります。今後は様々な気象や地表現象に対して超高層大気がどのように反応するのかを解明し、通信やナビゲーションシステム、また宇宙天気予報の精度向上に貢献することが期待されています。

鈴木臣 特任助教

自分の学問的興味が少しでも人類の幸せにつながる(かもしれない)ことが研究者を志すきっかけになりました。 現在は,我々の生活に密接に関わる気象や大気環境が宇宙にまでつながる面白さや不思議さにロマンを感じて研究しています。人類の活動領域は,ますます宇宙に広がっていきます。同時に地球環境を知るための科学技術もどんどん進歩しています。研究者を目指したきっかけを忘れず,この時代だからこそできる価値のある研究を進めていきたいと考えています。

今後の展望

これまで別々の分野として研究されてきた「宇宙」と「地球の大気・表層」のつながりが徐々に明らかにされつつあります.次々に打ち上がる各国の地球環境計測衛星や,日本主導の「南極昭和基地の大型大気レーダー観測」や「国際宇宙ステーションからの光学観測」などの大型プロジェクトの始動により,今度はさらに飛躍的な発展が見込まれます.様々なデータを駆使して,地球環境の過去・現在・未来を総合的に考えていきたいと思います。

これから研究を始める人へ

研究はたくさんつまずきがあります。どんなことが突破口になるか分かりません.研究とは関係のないことでも,興味のあることはどんどんやってみるべきだと思います。




参考

研究成果情報

鈴木臣 特任助教情報

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