持続可能な資源利用へ: 希少金属の有効利用を可能にする助触媒を開発

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  • 2014/02/24

名古屋大学エコトピア科学研究所小澤正邦教授を中心とした研究グループ1は、希少金属であるセリウム使用量を低減する自動車排ガス浄化用助触媒を開発しました。希少金属を有効利用することで、環境保全にも国家の資源戦略にも貢献する研究であり、広く注目を集めています。

排ガスを浄化する触媒には、主に白金などの希少な貴金属が使われています。その働きを高めるため、希少金属のレアアースの一種、セリウムが助触媒として用いられています。希少金属は産業にとって必要不可欠であり、重要な、地球からの資源です。資源の少ない日本では、それらを特定の国から輸入せざるを得ませんが、急激な価格上昇や供給の大幅な減少に直面する危険性があります。希少資源の安定供給を確保することやそれらを無駄なく活用すること、また代替資源を開発することは、国家レベル、しいては地球レベルで重要な課題であり、希少資源の低減技術・代替技術の開発が待ち望まれていました。

小澤教授を中心とした共同研究グループは、助触媒のためのナノ材料ジルコニア表面をセリウムでコーティングすることで、従来の助触媒と比べセリウム使用量を減少しながら高い浄化触媒性能を持たせることに成功しました。共同研究チームの株式会社ノリタケカンパニーリミテドはこの助触媒の製造技術を確立し、これを応用すれば触媒材料の希少金属(白金等)の使用量をも低減することができます。この研究成果は、将来的に日本や各国の希少金属の安定供給確保に貢献することが大いに期待されています。

1. 株式会社ノリタケカンパニーリミテド、名古屋工業大学との共同研究。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクト「排ガス向けセリウム使用量低減技術及び代替材料開発/排ガス浄化用触媒のセリウム量低減代替技術の開発」成果によるもの。

小澤正邦教授

大学院を出てから、企業での研究開発を10年余りし、それから大学に来て、2つ目の大学として名古屋大学に働いています。いまは自動車触媒のキーマテリアルとなったセリアジルコニアを世界で初めて発明し、その開発を先導してきました。小さい時から、「きれいなもの」にあこがれました。そのひとつは星、宇宙であり(高校では天文部)、短い言葉(詩)であり(20代で短歌人を志し)、また大学時代は新しい「結晶」を生み出すことを希望していました(本学工学部附属人工結晶研究施設で)。あこがれはあこがれのままというべき状態ですが、それらの夢を放さなかった証(あかし)として、研究という職業があるように思っています。

今後の展望

工学・技術の本質は、よりよい暮らし、よい世界のため、それを役立てようとする人の気持ちが、自然法則を通して現れたものだ、と思います。私の専門は、「環境改善のためのナノ材料」です。物質・材料に内在する自然法則とそれを具現する材料を見つけて役立てることを目指したい。

これから研究を始める人へ

小澤正邦教授あまり難しく考えずに、打ち込めると思えば素直に目の前のチャンスに参加し自分のしていることを楽しそうに話すことで、教科書の中の静止画とは違い、優れた研究者たちの集まりの中にこそ研究の世界があることに気付くと思います。

参考

研究成果情報

小澤正邦教授情報

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