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ハイライト論文

惑星系形成理論に新たな展開: 巨大ガス惑星「ホットジュピター」を地球型惑星が追いやるメカニズムを発見

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  • 2013/12/02

名古屋大学大学院理学研究科 荻原正博博士研究員を中心とした研究グループは、恒星近くに存在する巨大ガス惑星"ホットジュピター"を地球型惑星が追いやるメカニズムを発見し、これを「クラウディング・アウト」と名付けました。この研究成果は11月6日付でThe Astrophysical Journal Lettersオンライン版に掲載されました。惑星系形成理論に大きな進展をもたらす研究として、世界中から注目されています。

観測技術の発達によってこれまで多くの太陽系外惑星が発見され、それらの観測結果と比較することで惑星系形成過程が研究されてきました。しかしこれまで主流とされてきた惑星系形成モデルは、ホットジュピターと地球型惑星が同時に観測されない理由など多重惑星系の謎を説明することはできず、新たな理論の展開が待たれていました。

荻原博士研究員の研究グループは、既存の惑星系形成モデルにかわる新たなモデル、「ハイブリッド・シナリオ」1を提唱しており、惑星系形成理論を発展させてきました。今回、荻原博士研究員はこのシナリオを踏まえ、コンピューターシミュレーションを用いてホットジュピターと地球型惑星が並んで観測されない謎に挑みました。その結果、ホットジュピターは地球型惑星の形成を促進しますが、一度地球型惑星が成長するとそれらに恒星の方向へ押しやられ、最終的には恒星に飲み込まれて消滅することがわかりました。荻原博士研究員はこのメカニズムを「クラウディング・アウト」と命名しました。一方で、地球型惑星が十分な大きさに成長せずに小さな惑星にとどまる場合、ホットジュピターは押し出されることなくそのまま生き残ります。この時、小さな惑星は現在の観測技術ではとらえられないため、結果的にホットジュピターと恒星のみが観測されることがわかりました。このように、ホットジュピターと地球型惑星が共に観測されない理由が理論的に明らかになりました。

この成果はクラウディング・アウトを発見した点、またハイブリット・シナリオの有用性を示した点で、今後の惑星系形成研究に大きな影響を与えると考えられています。また、今回の研究ではホットジュピターと共存できる惑星の大きさまで割り出すことに成功したため、今後の観測で発見される惑星の姿を予測することにもつながります。この研究成果は将来の惑星観測計画、また惑星系形成研究に大きく貢献することが期待されています。

1.恒星が形成された直後にその周辺にホットジュピターなどの巨大ガス惑星が形成され、それらの影響下で地球型惑星などのその他の惑星が形成されるという惑星系形成シナリオ。

荻原正博 博士研究員

これまで太陽系内/太陽系外の地球型惑星及び巨大ガス惑星周りの衛星の形成過程と起源の解明に挑んできました。科学の研究をするということは、世界の最先端に立ち、自らこの世の理を明らかにしていく作業にほかなりません。自分の力で物事の仕組みが解明され、それを人類で初めて知ることになる、そこに魅力を感じて研究者の道を歩んでいます。科学の中でも私が取り組んでいる系外惑星の分野は、近年急激に進展しており、次々と新しいことが分かってきています。新しい歴史が作り出されていく、その現場に立ち会えるだけでなく、歴史を作るプレイヤーにもなれることから、日々わくわくしながら研究を行っています。

今後の展望

私の研究者人生をかけて取り組む長期的な目標は、衛星系やその他の天体を含めた太陽系内/太陽系外の惑星系の形成・起源を首尾一貫して説明できる惑星系形成理論を構築することにあります。また短期的には、私は来年4月からフランスで研究を行うことになるのですが、そこで新しい研究手法や考え方を身につけ、研究者としてはもとより一社会人としても成長したいと考えています。

これから研究を始める人へ

研究や社会をけん引する魅力的なリーダーになるためには、幅広い知識と経験が必要です。20代までの比較的自由な時間があるときに、将来必要になる知識・経験を獲得しておくことをおすすめします。ただ、将来何が必要になるかは分からないので、一つの考えに固執せず、とにかく様々な経験を積むと良いかもしれません。同時に、若くても時間は限られているので、研究を含めて、何事も短時間で集中して結果を残す術を身につけることも重要だと思います。

参考

研究成果情報
荻原正博 博士研究員 情報

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