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ハイライト論文

ロケットエンジンの常識を根底から覆す! 世界初、パルスデトネーションロケットエンジン単独での飛行実験に成功

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  • 2013/11/18

名古屋大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻の笠原次郎教授、松岡健助教を中心とした研究グループは、1世界で初めてパルスデトネーションロケットエンジン単独での飛行実験に成功しました。2

エンジンは燃料を燃やすことでエネルギーを得ます。エネルギー効率を上げるためにはより高温で燃料を燃やす必要がありますが、一定の温度を超えるとエンジン本体が燃えてしまう恐れがあります。そのため、エンジン内を高温に保ちつつ冷却システムによってエンジン本体を冷やすことが重要であり、このバランスを保ちながら効率的にエネルギーを得ることが課題とされてきました。また、既存のロケットエンジンは様々な機械によって複雑に構成されているため、形状が一定で融通が利かないという難点がありました。

この問題の解決につながる革新的なエンジンとして、パルスデトネーションロケットエンジンが注目を集めており、笠原教授はこの開発を世界的にリードしてきました。デトネーションとは衝撃波を伴う非常に強力な燃焼の一種であり、短時間で巨大なエネルギーを生み出します。デトネーションによる燃焼は速度が非常に速いため、一度燃焼が始まると燃焼前のガスが圧縮され、温度と圧力が上昇します。したがって、パルスデトネーションロケットエンジンはコンプレッサ等なしでも自ら燃料のガスを圧縮して高温・高圧状態を作り出し、強力な爆発を起こすことができます。この特性から、これまで圧力や温度を制御するために必要とされてきた機械を必要とせず、シンプルな構造で高いエネルギーを得ることができます。

これが実用化された場合、その構造の単純性から様々なデザインのエンジンが作られ、結果的に航空機のデザインをも変える可能性があります。また、いったん燃焼を起こしてから次の燃焼を起こすまでの時間が冷却期間として働くため、熱の問題も解決するかもしれません。既存のジェットエンジンと全く同じ推進力を持ちながら、様々な利点を持つパルスデトネーションロケットエンジンは、今後の航空宇宙機開発を根底から変えうる動力源として世界中で注目されています。今後、笠原教授らは更なる実験を経て安全性を高め、将来的には実用化を目指します。

1. エンジン担当:両角智人(筑波大)、システム担当:高木駿介(名古屋大)、基礎研究担当:松尾亜紀子教授(慶應大)、宇宙応用担当:船木一幸准教授 (JAXA) 、他。

2. JAXA/ISAS戦略的開発研究(工学)「デトネーション推進機構の研究」として実施。

笠原次郎教授

航空宇宙機のエンジンは最先端の科学技術によって、日々進化しています。しかし、基本的な構成・原理に大きな変化は、ここ半世紀ほどありません。私達は、大きな革新の波を起こそうと、世界中の仲間とともに本研究に取り組んでいます。また、デトネーションという極超音速燃焼は大変魅力的で、現象そのものの基礎研究も行っています。

今後の展望

近い将来の宇宙での実用化を目指して研究を続けております。まずは宇宙機の主または姿勢制御用エンジンに使用していただけたら有り難いと、考えています。回転デトネーションエンジンとよばれるエンジンも研究が活発になっておりまして、こちらの研究の展開にも注目頂きたいです。

これから研究を始める人へ

長く研究を持続するには、やはり、その対象がとても好きであることが必要な気がしています。好きなことを仕事にすると苦労に変わるという言葉(事実?)も耳にしますが、苦労を乗り越えるための力の源はやはり好きであることだと思っています。





参考

研究成果情報
笠原次郎教授情報

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