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ハイライト論文

日本独自の成果: 「あけぼの」衛星の長期データで宇宙放射線の変動メカニズムを解明

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  • 2013/10/08

名古屋大学太陽地球環境研究所の三好由純准教授を中心とした研究グループは、太陽風によって放射線帯の電子が増えるメカニズムを解明しました。この研究成果は9月25日付でGeophysical Research Lettersに掲載されました。

地球周辺の宇宙空間には、高いエネルギーをもった電子と陽子イオンなどでできている放射線帯が存在します。この一帯には宇宙ステーションやGPS衛星などの人工衛星が飛んでおり、電子の増加によってその活動は大きく影響を受けます。例えば、放射線帯の電子が増えると衛星放送が中断したり、GPSサービスに乱れが生じたりします。これを予測することは、私たちが普段当たり前だと思っている様々なサービスを維持するために重要であり、放射線帯で活動する宇宙飛行士を被ばくから守ることにもつながります。しかし電子の増加を引き起こすと言われている太陽風と電子数の関係性は複雑で、どのような条件がそろった時に電子の数が変化するのかはこれまでわかっていませんでした。

三好准教授らは1989年に打ち上げられ、現在まで長らく放射線帯のデータを収集してきた「あけぼの」衛星と、米国NASAのACE衛星等の観測データ14年分を用い、地球にやってくる太陽風とエネルギーの高い電子の関係を統計的に解析しました。その結果、スピードの速い太陽風の中に南向きの磁場が含まれることが電子を増やす要因となっており、この条件がそろった時にコーラスと呼ばれる宇宙の電波が活性化し、放射線帯の電子を増やすことがわかりました。この研究成果は、宇宙天気予報の精度向上に大きく貢献するものであり、電子の増加による様々な障害への対策を立てることを可能にします。また、今回の研究成果は日本の長寿衛星「あけぼの」の長期データを得られたことで実現した、日本でしか成し遂げられなかった成果といえます。2015年度には最新鋭のジオスペース探査衛星(ERG)がイプシロンロケット2号機によって打ち上げられる予定で、コーラスによって電子のエネルギーが増加するメカニズムの詳細が解明されることが期待されています。

三好由純准教授

地球や惑星周辺の宇宙空間では、様々なプラズマ現象が生起し、その結果オーロラが輝いたり、放射線帯の高エネルギー粒子の変動が生じたりします。人工衛星の観測データによって、プラズマがダイナミックに変化する様子をとらえ、そして誰も知らない未知の現象を見出すことができることに魅力を感じて、この分野を選びました。

今後の展望

エネルギーが高い粒子は、宇宙のいたるとこに存在していますが、粒子が生成される素過程はよくわかっていません。2015年度に打ち上げられる予定のジオスペース探査衛星(ERG)によって、その素過程を解き明かすことを楽しみにしています。そして、新しく見つけたことを、ぜひみなさんに報告できればと思っています。

これから研究を始める人へ

月並みですが、何か不思議なことを見つけたときに、それをいろいろな角度からじっくりと考えるということが、とても大事なことと思います。思わぬところにヒントがあるもので、普段から視野を広く持っておくことが研究を進める上では欠かせないことのように思います。




参考

研究成果情報
三好由純准教授情報

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