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ハイライト論文

より良い植物を求めて-受精のコントロールと新たな種子の作出ー

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  • 2013/05/31

緑色の光=胚
赤色の光=胚乳

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の東山哲也教授(ERATO東山ライブホロニクスプロジェクト 研究総括)と丸山大輔氏(日本学術振興会特別研究員PD)を中心とした研究グループは、被子植物が受精を停止するメカニズムを解明し、胚と胚乳が異なる遺伝情報を持つ種を作ることに成功しました。この研究成果は5月13日付の米科学誌Developmental Cellオンライン版に掲載されました。

被子植物は卵細胞と中央細胞という2つの生殖細胞を別々に受精させ、それぞれ胚(植物の幼体)と胚乳(胚に養分を送る器官)を作ります。これを重複受精とよびます。花粉がめしべに付着すると、花粉から花粉管が伸び、精細胞を生殖細胞へと運びます。ひとつの花粉から花粉管を通して同じ遺伝子組成の2つの精細胞が運ばれ卵細胞・中央細胞と受精すること、またひとたび受精が完了するとその後は花粉管を受け付けないことから、これまで胚と胚乳に異なる遺伝情報を持たせることは難しいと考えられてきました。

研究チームは突然変異で通常2つある精細胞が1つしか作られないシロイヌナズナ(アブラナ科)を用い、重複受精における卵細胞と中央細胞の受精と、植物が受精を停止する関係を調べました。この結果、片方の生殖細胞のみが受精した場合、植物は新たな花粉を求めて受精を続けることが明らかになりました。このため、研究チームは卵細胞または中央細胞の片方だけが受精に成功した後、残された生殖細胞が次に花粉管によって運ばれる異なる精細胞と受精することを推測し、解析を進めました。この結果、卵細胞、中央細胞はそれぞれ異なる精細胞と交わり、胚と胚乳で異なる遺伝情報をもった種子を作ることに成功しました。

今回の研究成果を応用することで、卵細胞と中央細胞にそれぞれ最適な遺伝子を持つ精細胞を送ることが将来的に可能になると考えられます。貧しい土地でも育ちやすい種子を作るなど、今後は新しい有用な植物の作出にも貢献していくことが期待されています。

東山哲也教授

卵細胞と中央細胞、どちらの受精が花粉管の誘引停止に関わるのかという興味から研究を始めました。どちらも必要ということが分かっただけでなく、意外にもそれぞれを別の花粉由来の精細胞と受精させることに成功しました。めしべの中の受精を詳しく観察する独自の技術をいかした成果です。

今後の展望を一言

胚と胚乳を異なる遺伝子組成で作る突破口が開いたので、大きな種子を作る技術など、新しい育種技術の開発につなげたいです。

これから研究をする人へ一言

生命現象は謎の宝庫です。中枢の神経系などをもたずに全体で機能する植物も不思議がいっぱいです。新しい仕組みの第一発見者を目指して下さい。

参考

研究成果情報
東山哲也教授情報

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