あいちサイエンスフェスティバル2012
名古屋スペースキャンプ 2012 NSC-1
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主催し、宇宙開発に関心のある学生を対象に8月1日から4日間にわたって開催されました。講義や演習、施設見学を通し、日本の宇宙開発について理解を深めてもらうことを目的としています。
・日程:2012年8月1日(水)~8月4日(土)
・主催:JAXA
・共催:名古屋市科学館、名古屋大学、第29回宇宙技術および科学の国際シンポジウム開催支援愛知・名古屋実行委員会
・協賛:三菱重工業株式会社
Ux研究室(高等総合研究館)
講師:松本 浩典(名古屋大学 准教授) カンファレンスホールでX線天文学の講演を理学研究科の松本浩典准教授に講演していただきました。その後、研究室見学を実施。通常の望遠鏡と違う多重薄板によるX線望遠鏡用の鏡や製作現場を見せていただきました。
航空宇宙工学研究科 制御システム工学研究グループ
講師:山田 克彦(名古屋大学 教授) 宇宙空間で衛星などの姿勢制御の話をしていただきました。姿勢制御に使うジャイロを体験し、制御システムなどをさわりながら仕組みを教わりました。参加者は研究について活発に質問をしていました。
航空宇宙工学研究科 推進エネルギーシステム工学研究グループ
講師:長野 方星(名古屋大学 准教授) 宇宙環境での熱制御を中心に宇宙環境から機材を守るシステムついて長野先生に話をしていただきました。宇宙環境を再現する装置や、熱などから衛星を守る素材を見せていただき、参加者からは将来熱制御の研究をしたいといった感想がありました。
航空宇宙工学研究科 電離気体力学研究グループ
講師:横田 茂(名古屋大学 助教授) 次世代の宇宙推進装置である電気推進機について、横田茂先生に話をしていただきました。ロケットが進む仕組みから、火星などを目指すロケットの推進器として期待される電気推進機についての説明の後、研究室を見学しました。
モデルロケット打ち上げ実験 豊田講堂前広場(打ち上げ現場)
午前中の見学時間が長引いたため、当初予定していた時間より15分遅れ、13時45分からロケット発射実験を開始。6回のうち、5回が打ち上げに成功。打ち上げられたロケットの中には、パラシュートが開かなかったなど、完全には成功とは言えないものもあり、参加者は一喜一憂していました。
モデルロケット打ち上げ実験 インキュベーション施設(データ解析)
インキュベーション施設に移動し、モデルロケット打上げ実験の解析など活動のまとめ作業を実施。チームの仲間と議論しながら、参加者は熱心にロケットに積まれた映像解析や、失敗した原因調査を行いました。
ネットワーク中心企画 市民向け講演会 先端科学技術と社会
私達の生活に密着するようになった科学技術。日本を代表する研究者が、社会と科学技術の関わりについてお話する、週末の午後のあいちサイエンスフェスティバル2012メインイベントです。科学技術の現状や課題について、参加者の意見も聞きながら進めました。
ミクロ・ナノの電磁場を見せた外村彰を偲ぶ
開催日時:2012年10月20日(土)14:30-17:30 開催場所:名古屋大学 ESホール(名古屋市千種区不老町) 追悼講演:原田 研(日立中央研究所)、進藤 大輔(東北大学多元物質科学研究所教授)、平山 司(ファインセラミックスセンター ナノ構造研究所副所長) コーディネート・司会:丹司 敬義(名古屋大学エコトピア科学研究所教授) 挨拶:松岡 敬二(豊橋市自然史博物館 館長)
ノーベル賞候補といわれながら5月に急逝された外山彰氏を追悼するシンポジウムを開催しました。同氏は名古屋大学で工学博士を取得したため名古屋大学ホームカミングデー企画として実施。外山プロジェクト出身である名古屋大学の丹司敬義氏のコーディネーターで、ゆかりの深いホログラフィー電子顕微鏡関連のトップ研究者が集合。日立中研の原田研氏が故人の業績を紹介し、ファインセラミックセンターの平山司氏,東北大の進藤大輔氏が最新成果について講演しました。最後に登壇者全員で研究の推進と社会への還元について議論しました。
X線で見る宇宙の新しい姿
開催日時:2012年11月3日(土)14:00-16:00 開催場所:三井住友銀行SMBCパーク栄(名古屋市中区錦3丁目25-20) 講師:國枝 秀世(名古屋大学 副総長・教授) 挨拶:安田 孝志(愛知工科大学 学長) 司会:藤吉 隆雄(名古屋大学産学官連携推進本部 特任助教)
フェス最終週の市民向け講演会はJA2012連携クロージング企画を兼ねて開催。ネットワークに新加入した愛知工科大学の安田学長の冒頭あいさつに続き、名古屋大学の國枝副総長がX線天文学について講演しました。広い意味での天文学の歴史から、愛知県での航空宇宙産業とアカデミアの連携、再来年度に打ち上げに向けて完成したばかりのASTRO-H衛星用のX線望遠鏡まで幅広い話題を紹介しました。
あいちサイエンスフェスティバル2012 さかえサイエンストーク
“大きな技術”で小さな生体分子を視る・操る
日時:2012年10月1日(月)18:30-20:00 ゲスト:加地 範匡(名古屋大学大学院工学研究科 准教授) 会場:三井住友銀行SMBCパーク栄 加地氏らのチームが開発するDNA一分子で配列を調べるナノバイオ・デバイスを紹介。センサー部品の現物を参加者それぞれが手にとって観察し、その微細加工のテクノロジーを確認しました。また、多様なファシリテーターによるさかえサイエンストーク展開の初回として理科教材会社の編集部長が司会に挑戦しました。
鏡の国のサイエンス~アリスが見た分子の左右~
日時:2012年10月4日(木)18:30-20:00 ゲスト:石原 一彰(名古屋大学大学院工学研究科 教授) 会場:ジュンク堂書店ロフト名古屋店7Fブックサロン 右手型、左手型の分子のつくりわけの化学を紹介しました。ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」を紐といてトークを準備。印象的なエピソードに化学現象をなぞらえ、新聞で紹介された最新研究を説明しました。右手型、左手型で匂いが違う物質サンプルを参加者で体験し、五感で体験するサイエンストークとなりました。
50年後の飛行機・ロケットを語ろう
日時:2012年10月11日(木)18:30-20:00 ゲスト:佐宗 章弘(名古屋大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻 教授) 会場:ジュンク堂書店ロフト名古屋店7Fブックサロン 近未来に実現を目指している飛行機技術とロケット技術を紹介しました。レーザー推進,進行方向に対するエネルギー使用による推進の効率化、真空チューブによるロケット射出など、3つのテーマが準備されていたものの、一つ目のテーマでほとんど時間切れになるほどトークの途中で質問が続出して盛り上がりました。
屋久杉が語る奈良時代の宇宙線強度~急激な増加の謎~
日時:2012年10月19日(金)18:30-20:00 ゲスト:三宅 芙沙(名古屋大学太陽地球環境研究所学振特別研究員) 会場:ジュンク堂書店ロフト名古屋店7Fブックサロン 新聞で大きく取り上げられた研究成果について本人が初めて一般向けに紹介しました。屋久杉を年輪ごとに細かく削り取って炭素14濃度を測定し、奈良時代に宇宙線の強度が急激に増加していた事実を発見。地道な作業プロセスとその結果、他の研究チームの別の樹木による研究成果との対照などをわかりやすく説明しました。
小さな生き物が教えてくれる脳のしくみ
日時:2012年10月22日(月)18:30-20:00 ゲスト:森 郁恵(名古屋大学大学院理学研究科 教授) 会場:三井住友銀行SMBCパーク栄 脳プロを代表して名古屋大の森氏が登場。全長1ミリの線虫を用いた脳のメカニズムの研究を紹介しました。線虫が温度を記憶する仕組みについての最新研究成果として、細胞そのものが温度を記憶している可能性が示唆されたと解説。今までの常識が覆るかもしれない最先端の研究に参加者一同で接しました。
「ノーベル賞を受賞した日本の科学者」展連携企画
国立科学博物館が作成した巡回展が、豊橋市自然史博物館とトヨタテクノミュージアム産業技術記念館で開催。これを契機に連携活動を展開しました。
企画展「ノーベル賞を受賞した日本の科学者」
日付:2012年5月19日(土)〜7月8日(日) 会場:豊橋市自然史博物館 これまでにノーベル賞(物理学賞、化学賞、生理学医学賞)を受賞した15人の日本人科学者について、その業績をパネルや関連資料により紹介しました。
あいちサイエンストーク
~ノーベル賞を受賞した日本の科学者~「光る生き物のサイエンス」
日付:2012年6月2日(土) ゲスト:大場 裕一(名古屋大学生命農学研究科 助教) 会場:豊橋市自然史博物館 2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩氏との交流の思い出からトークをスタート。光る生き物が必ず持つルシフェリンとルシフェラーゼについて詳しく解説したのち、全員にウミホタルを配布して発光現象を各自で観察しました。そのうえで、自身が取り組む日本全国の発光生物の再調査プロジェクトを紹介しました。
あいちサイエンストーク
~ノーベル賞を受賞した日本の科学者~「右手型と左手型の分子をつくりわける」
日付:2012年6月9日(土) ゲスト:北村 雅人(名古屋大学創薬科学研究科 教授) 会場:豊橋市自然史博物館 2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治氏の不斉合成の業績を、一番弟子のひとりである北村雅人名大教授が詳しく解説しました。さらに、廃棄物が出ない有機合成を目指した研究を引き続き展開する北村教授自身の仕事も紹介。これからの化学研究に必要な情熱について熱く語りかけました。
あいちサイエンストーク
~ノーベル賞を受賞した日本の科学者~「謎の素粒子ニュートリノ」
日付:2012年6月16日(土) ゲスト:伊藤 好孝(名古屋大学太陽地球環境研究所 教授) 会場:豊橋市自然史博物館 カミオカンデでともに研究していた伊藤氏が2002年ノーベル物理学賞の小柴昌俊氏の業績を紹介。ニュートリノの存在の予言から発見、小柴グループによる宇宙ニュートリノ発見までの歴史を詳しく解説しました。参加者からの質問にパソコンから図版を探し出して説明するなど、さすが最先端研究者と思わせるトークででした。
あいちサイエンストーク
~ノーベル賞を受賞した日本の科学者~「物質と質量の起源の謎に挑む」
日付:2012年6月23日(土) ゲスト:棚橋 誠治(名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構/理学研究科 教授) 会場:豊橋市自然史博物館 益川・小林両氏の2008年ノーベル物理学賞の業績を紹介しました。素粒子とは何か、どのように観測できるのかを詳しく解説。物質の起源の謎を身振り手振りで熱く語ってくれました。さらに、同時受賞した南部陽一郎氏の業績にも触れ、日本人科学者が素粒子物理学の発展に大きく貢献していることを紹介しました。
企画展「ノーベル賞を受賞した日本の科学者」
日付:2012年7月14日(土)〜9月2日(日) 会場:トヨタテクノミュージアム産業技術記念館 これまでにノーベル賞(物理学賞、化学賞、生理学医学賞)を受賞した15人の日本人科学者について、その業績をパネルや関連資料により紹介しました。
学外アウトリーチ活動、その他
キッズ ボタニカル・ラボ
日付:2012年8月24日(金) 講師:瀬上 紹嗣(名古屋大学生命農学研究科 博士研究員) 会場:名古屋市東山動植園 主催:名古屋市東山植物園 東山植物園で小学生を対象に開催。「光合成に必要なものは何か」を考えながら調べる実験教室。参加者は試行錯誤しながら実験に取り組み、最後にみんなで実験結果をワークシートにまとめて発表をしました。
サイエンスイラストレーション・サマースクール2012 in あいち 受講者作品展
日付:2012年10月9日(火)〜10月26日(金) 会場:名古屋大学 8月末に開催した「あいちサイエンスコミュニケーション・サマースクール2012 in あいち」で取り組んだオブザベーション・ドローイングという手法の学習成果を展示。同時に講師として来日したJ.E.フェアマン氏ら北米サイエンスイラストレーション教育陣の代表的作品も展示しました。
アノマロ宇宙へ行く! ~宇宙(そら)から地球を見てみよう~第3回「宇宙へ!~いざ、打ち上げ~①」
日付:2012年10月27日(土) 会場:ラグーナ蒲郡 共催:名古屋大学地球水循環研究センター・名古屋文理大学・蒲郡市生命の海科学館 予定の20日が台風のため延期になり、この日に打ち上げを実施しました。打ち上げ地点は好天ながら落下予定の海は波が高く、撮影機器の回収はできませんでした。
ノーベル化学賞受賞者による“実験教室”高分子有機EL素子を作製しよう!
日付:2012年11月4日(日) 講師:白川 英樹(筑波大学名誉教授)、廣木 一亮(津山工業高等専門学校講師) 会場:名古屋大学 2000年ノーベル化学賞の白川先生から直接実験方法などの指導を受け、大学の実験装置を使いながら有機ELを作製しました。むずかしい実験ながら、ほとんどの方が有機ELを明るく光らせることに成功。白川先生と直接対話や、大学で使う試薬や実験道具など、通常では行えない体験に感動した様子でした。
アノマロ宇宙へ行く! ~宇宙(そら)から地球を見てみよう~第4回「宇宙へ!~いざ、打ち上げ~②」
日付:2012年11月25日(日) 会場:ラグーナ蒲郡 共催:名古屋大学地球水循環研究センター・名古屋文理大学・蒲郡市生命の海科学館 フェス会期中の11月4日が天候不良のためにこの日に打ち上げを延期。撮影機器の回収はできませんでしたが、バルーンの飛行経路のデータを取得できました。
大垣市こどもサイエンスプラザ 超伝導体を使った実験教室
日付:2013年1月13日(日) 講師:藤巻 朗(名古屋大学工学研究科 教授) 会場:大垣市こどもサイエンスプラザ 主催:大垣文化事業団 実験教室では液体窒素を使いながら3つの実験に取り組みました。参加者は普段見ることが出来ない超伝導体や液体窒素が起こす不思議な現象を目の当たりにしました。講師をお願いした藤巻朗先生には超伝導体の話と共に、研究の面白さについて語っていただきました。「参加者からは実験の楽しさまで教えてもらった」といった感想がありました。