あいちサイエンスフェスティバル2015
あいちサイエンスフェスティバル2015 講演会・イベント
オープニングイベントでは私達の生活に密着するようになった科学技術について日本を代表する研究者が、社会と科学技術の関わりについて講演しました。その他、子ども達を始めとする一般市民を対象に、「化石発掘」の体験ツアーを開催。化石研究の現場へ出向き、専門家とともに、化石の発掘などから科学の面白さや、地学についての興味や関心を育みました。クロージングイベントでは国際光年を記念し、青色LEDに続く、注目すべき3つの光研究について、各研究者が講演しました。
第一部 特集「生命進化」特別講演会「科学者が人間であること-生命誌をつむぎ、未来を想う-」
日時:2015年9月19日(土)10:30-12:30 会場:名古屋大学ES総合館ESホール 講師:中村 桂子(JT生命誌研究館 館長) 若手研究者:中 竜大(素粒子宇宙起源研究機構特任助教)、内田 康弘(発達教育科学研究科博士後期課程3年)、萩尾 華子(生命農学研究科博士前期課程2年) 挨拶:松尾清一氏(名古屋大学総長) 中村桂子先生をお招きし、これからの社会における科学者の役割などについてお話しいただきました。医学の科学技術化が進む米国型ライフサイエンスとは異なり、公害との闘いから生物学の総合を目指した日本の「生命科学」。その思想を礎に、科学技術万能からの脱却や生きものとしての人間の感覚を取り戻す総合知として「生命誌」の道を拓いた中村先生の熱い思いが語られました。講演会後半では、蒲郡生命の海科学館の山中敦子館長を進行役に、名古屋大学の若手研究者との対話の時間をもち、世代間の学際的意見交換がおこなわれました。
第二部 名古屋大学研究最前線「世界を変える分子を創る!-生物学と化学のMIXラボがスゴい-」
日時:2015年9月19日(土)14:00-16:00 会場:名古屋大学ES総合館ESホール 講師:伊丹 健一郎(名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻化学系教授,名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長) 「分子」についてその可能性や研究最前線を、時にユーモアを交えて力強く、講演しました。新しい分子は、小さな有機分子をレゴのように組み立てて作られますが、名古屋大学ITbMではニッケル触媒を用いたC-Hカップリング法を開発し、1段階・低コストでの分子合成に成功しています。また、馬の鞍のような形をしたワープド・ナノグラフェン(通称:分子プリングルズ)を生み出すなど、多くの画期的な研究成果が生み出されています。さらにITbMでの植物科学の発展がアフリカの飢餓を救う可能性についても語られました。若きリーダーの講演に、聴衆は大いに触発され、将来のノーベル賞を予感する感想も見られました。
化石体験発掘ツアー
日時:2015年10月18日(日)9:00-16:00 会場:岐阜県瑞浪市 土岐川河川敷 講師:氏原 温(名古屋大学大学院環境学研究科准教授)、市原 俊(名古屋文理大学短期大学部助教)、川瀬 基弘(愛知みずほ大学人間科学部講師) 名古屋大学より貸切バスにて、化石研究の現場へ出向き、化石の発掘、観察、そして専門家による鑑定という体験を通しながら、研究者がいかに化石研究に取り組んでいるか、興味深く学ぶことができました。計2時間の発掘体験でしたが、「もっとやりたい」と声もあがるほどの熱心さには感服でした。また、バス車内では、氏原先生が最新研究を話しました。子ども達は、氏原先生の子どもの頃の話に自分を重ねていた様子で、「自分も化石研究者になりたい」という夢と希望を話してくれました。
フェスティバル2015クロージングイベント「未来社会でのひかり-光の研究最前線-」
日時:2015年11月1日(日)14:00-16:30 会場:名古屋大学ES総合館ESホール 講師:川瀬 晃道(名古屋大学大学院工学研究科教授)、竹岡 敬和(名古屋大学大学院工学研究科准教授)、永江 峰幸(名古屋大学シンクロトロン光研究センター助教) 挨拶:財満 鎭明(名古屋大学副総長/学術研究・産学官連携推進本部長)
国際光年を記念した講演会では、川瀬教授は、従来実用性が認められてこなかったテラヘルツ波の可能性を、X線に替わる非破壊診断や覚せい剤探知などの事例を挙げて説明しました。竹岡准教授は、色の見え方について基本的な理解を解説した上で、鳥や昆虫の羽に見られる構造色を応用した色作りについて紹介しました。永江助教は、X線の一種であるシンクロトロン光でタンパク質を見る研究について、化学的な観点から説明しました。
あいちサイエンスフェスティバル2015 サイエンストーク
シリーズ「生命進化」キュレーターズ・トーク「謎の初期生命-太古代の微化石に迫る」
日時:2015年10月1日(木) 18:30-20:00 ゲスト:杉谷 健一郎(名古屋大学大学院環境学研究科教授) 進行:山中 敦子(蒲郡市生命の海科学館館長) 会場:文化系飲食店「ボクモ」 30億年前の原核生物と思われる化石を発見してから、学界で受け入れられるまでの経緯に絡めながら、太古代の化石認定をめぐる論争や、化石発掘調査の醍醐味など、研究者のグローバルな世界が興味深く語られました。
図書館サイエンス夜話第2夜「身近になった画像認識」
日時:2015年10月14日(水) 18:30-19:45 ゲスト:村瀬 洋(名古屋大学大学院情報学研究科教授) 会場:名古屋市鶴舞中央図書館第1会議室 画像認識の概要と画像認識が生活の中でどのように役に立っているのかを話しました。防犯カメラの粗い画像から犯人を特定したり、自動車の自動運転に貢献したりと、まだまだこれから発展していく分野だと感じました。
図書館サイエンス夜話第3夜「微・美・ビッとくる化石のお話し」
日時:2015年10月28日(水) 18:30-19:45 ゲスト:須藤 斎(名古屋大学大学院環境学研究科准教授) 会場:名古屋市鶴舞中央図書館第1会議室 微化石と実際の調査について話しました。普段知ることのできない掘削船内での作業・研究・生活の様子に皆さん興味深げに耳を傾けていました。お話だけでなく、電子顕微鏡で実際に珪藻の微化石を観察しました。
「言語はなぜ通じるのか-言語の意味と構造」
日時:2015年10月22日(木) 18:30-20:00 ゲスト:町田 健(名古屋大学大学院文学研究科教授) 進行:水町 いおり(中京大学・愛知学院大学非常勤講師) 会場:文化系飲食店「ボクモ」 普段無意識に使っている日本語を客観的に捉え直す言語学的作業を、言葉を分解するようにして解説しました。言語はなぜ通じるのか、まだわからないことが多いとのこと。軽妙なトークに会場は何度も笑いに包まれました。
「ペーパークラフトで創ってみよう 夢のナノカーボン」
日時:2015年10月27日(火) 17:00-19:00 ゲスト:瀬川 泰知(名古屋大学大学院理学研究科特任准教授) 進行:松岡 亜紀(JST-ERATO伊丹分子ナノカーボンプロジェクト研究推進主任) 会場:名古屋大学理学南館セミナー室 ナノカーボンの基本を押さえた上で、ゲスト自作の、炭素の六角形構造が印刷された紙を用いて工作し、カーボンナノチューブとマッカイ結晶の模型を作りました。五角形と七角形が立体化の鍵であることなどが体験的に理解できました。
名古屋スペーススクール2015
名古屋大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)との連携協力協定に基づき「名古屋スペーススクール2015」が開催されました。「名古屋スペーススクール2015」は宇宙や地球環境に対する子どもたちの意識を高め、より良い未来を築いてゆく人材の育成を目的に7月28日(火)から31日(金)までの4日間行われ、全国から応募した24名の中・高校生が参加しました。
・日程:2015年7月28日(火)~7月31日(金)
・主催:JAXA
・共催:名古屋大学、名古屋市科学館
・協賛:三菱重工業株式会社
工学研究科 流体力学研究グループ
大学院生の説明のもと、航空機、宇宙機の風洞実験装置の見学を行いました。模型を使った実験装置や超音速風洞などを見学しました。大がかりな実験装置を見ながら、流体実験の重要さを学びました。
工学研究科 推進エネルギーシステム工学研究グループ
宇宙機を守る断熱材やヒートパイプなどの役割を、体験や実験をしながら学びました。瞬時に熱が伝わるヒートポンプの働きを体験し、宇宙環境を再現する装置を見学することで、熱制御の工夫を学びました。
工学研究科 衝撃波・宇宙推進研究グループ
大気圏突入時に機体を守るアブレータの研究について見学しました。分光器を使った色の紹介や熱を持っ物が放つ光の特長を体験ともに知り、熱と光の関係を体験するとともにアブレータの重要性を学びました。
モデルロケット打ち上げ実験 豊田講堂前広場(打ち上げ現場)
夕方からは豊田講堂前広場で参加者が各自作成したモデルロケットの打上げ実験を行いました。各自作成したロケットには参加者が割れないよう工夫した卵が載せてあり、卵が割れずに着地できるのかを競い、ロケットの行方や卵の状態を見て一喜一憂していました。
あいちサイエンス・コミュニケーション・ネットワーク連携事業
昆虫・ふしぎ発見! 木の中のキノコ栽培と子育て
日時:2015年8月4日(火)13:30-15:00 講師:梶村 恒(名古屋大学大学院生命農学研究科准教授) 会場:名古屋市鶴舞中央図書館(名古屋市昭和区鶴舞1-1-155) 主催:名古屋市鶴舞中央図書館 共催:名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部 最初は「キクイムシって何だろう?」という表情の子ども達でしたが、先生のわかりやすいお話に次第に引き込まれていました。実際に朽木を割ってキクイムシを探し出し、スマホ顕微鏡で観察できたことで、理解が深まったと思います。
キッズボタニカル・ラボ
日時:2015年8月9日(日) 13:00-16:30 講師:瀬上 紹嗣(名古屋大学大学院生命農学研究科特任助教 ) 会場:東山動植物園植物会館研修室 (名古屋市千種区東山元町3-70) 主催:名古屋市東山植物園 共催:名古屋大学大学院生命農学研究科細胞ダイナミクス研究室、名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部 名古屋市立東山動植物園において、小学3~6年生を対象に、大学の研究者と一緒に実験ができるイベントを開催しました。植物のチカラ「光合成」について、実験を通して学んでいただきました。仮説を立て、実験をするといった科学的な手順も体験していただきました。
名古屋大学出前授業 in 豊橋2015
会場:豊橋市自然史博物館(豊橋市大岩町大穴1-238)
主催:豊橋市自然史博物館
共催:名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部
名古屋大学の研究者を豊橋市自然史博物館に派遣して、出前授業をおこないました。毎回、子どもからおとなまでの自然史好きの市民たちが参加し、質疑応答も活発におこなわれました。4つの各テーマはどれも、自然史博物館の展示趣旨とも合致するもので、名古屋大学における自然史研究の広がりを知っていただく良い機会となりました。
第1回「トリケラトプスの歩き方 ~ホネの形の意味を探る~」
日時:2015年11月15日(日) 講師:藤原 慎一(名古屋大学博物館助教)
第2回「人類はいかにして地球環境を支配するようになったか?―人類進化と農耕起源の考古学―」
日時:2015年12月6日(日)
講師:門脇 誠二(名古屋大学博物館助教)
第3回「まちがった愛に追われて ~生物の分布と繁殖干渉~」
日時:2015年12月13日(日) 講師:西田 佐知子(名古屋大学博物館准教授)
第4回「生きている化石、ウミユリの世界」
日時:2015年12月20日(日)
講師:大路 樹生(名古屋大学博物館長、教授)
図書館ナイトサイエンス第二夜「まちがった愛に追われて~生物の分布と繁殖干渉」
日時:2015年12月18日(金)18:45-20:30 講師:西田 佐知子(名古屋大学准教授) 会場:安城市勤労福祉会館 大会議室(安城市御幸本町5-10) 主催:安城市中央図書館 協力:名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部 愛知県図書館の仲介により、安城市中央図書館主催の講座に講師を派遣しました。西田氏は西洋タンポポと日本タンポポの分布変化やその要因などについて、繁殖干渉という新しい視点からの研究成果を紹介しました。平日の遅い時間でしたが、多くの市民が集まり、講師の話に熱心に耳を傾けていました。
2014年ノーベル物理学賞受賞 天野浩先生講演会「世界を照らすLED」
日時:2016年2月7日(日)13:30-15:15 講師:天野 浩(名古屋大学工学研究科教授) 会場:穂の国とよはし芸術劇場「プラット」主ホール(豊橋市西小田原町123) 主催:豊橋市教育委員会、豊橋市地下資源館 協力:名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部 豊橋市地下資源館開館35周年を記念し、天野氏の講演会を開催しました。「子どもたちに夢のあるメッセージを」という依頼に合わせ、天野氏は自らの幼少期から研究者になるまでの道のりや、世界に貢献するこれからの青色LED研究の可能性について、ユーモアを交えながら話しました。約800名の聴衆の約半分は小学生から高校生までの子どもたちで、講演会の後半には、あらかじめ選抜された15名の子どもたちが壇上で、天野氏に直接質問を投げかけました。「挑戦・自立・貢献が大切」という一貫したメッセージが、聴衆の心に深く刻まれたことと思います。
アウトリーチ活動支援
ひらめき☆ときめきサイエンス「周期表の中のC、N、O、Fと身近な材料がどのようにくっつくか調べよう」
日時:2015年8月4日(火)10:00-17:00 講師:田嶋 聡美(名古屋大学大学院工学研究科附属プラズマナノ工学研究センター特任准教授) 会場:名古屋大学ベンチャービジネスラボラトリー ベンチャーホール 主催:名古屋大学大学院工学研究科 共催:名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部 半導体加工用ガス中のC、N、O、Fと 材料表面の反応を走査型電子顕微鏡や分子軌道法を用いて紹介しました。高校生は分子模型構築や数値解析をチームで協力して完成させ和気あいあいと科学の楽しさを堪能していました。(日本学術振興会委託事業)
のぞいてみよう!プラズマと生物と医療の不思議な世界
日時:2015年8月6日(木)13:00-15:00 会場:東山キャンパス NIC3階 大会議室 主催:名古屋大学「プラズマ医療科学の創成」事務局 協力:名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部 プラズマに関する様々なデモを行い、基礎から、研究成果について紹介しました。当日は親子連れの方も大勢おとずれ、実際にプラズマボールに触ったり、真空や電子レンジを使った不思議な現象を体験しました。小学生にとってもプラズマと研究が身近に感じられる良い機会になったようです。