数理ウェーブ 2013年度

平成26年3月22日開催 日本数学コンクールフォローアップセミナー 数理ウェーブ

※このイベントは終了しました。

①14:00~15:00 3次元空間を見分ける ~状態和不変量入門~岡﨑 建太 (京都大学数理解析研究所・特別研究員)

曲面、すなわち曲がった2次元空間には球面、n人乗り浮き輪、クラインの壺など様々なものがあります。 そして、曲がった3次元空間(専門用語で「3次元多様体」といいます) には曲面よりもはるかに豊富な種類があることが知られています。 3次元多様体を分類したりその性質を調べることはトポロジストたちの 大きな課題ですが、今回はその取組みのひとつである「状態和不変量」 について、簡単な部分を解説できればと思います。 状態和不変量とは、3次元多様体を基本的なピース(四面体)に分割し、 その分割を用いて元の3次元多様体の情報を取り出すようなもののことです。

②15:10~16:10 逆問題と数学  大沢健夫(名古屋大学多元数理・教授)

津波観測網の整備により、東北海岸では10分間のデータからそれ以後の海面の動きが瞬時に計算できるようになったそうです。これは出来事の原因をデータか ら推定する技術に基礎づけられていますが、その数学的側面は多様で、(1) 理論的にはどこまで分かるのか? (2) 現実はどうか? (3) 数学として何が面白いのか?
の3点に留意する必要があるといわれます。逆問題とよばれるこのような分野について、いくつかの例を調べてお話しします。

平成26年1月25日開催 日本数学コンクールフォローアップセミナー 数理ウェーブ

※このイベントは終了しました。

①14:00~15:00「無限個の点を除いた平面の変形」藤野 弘基(名古屋大学多元数理・院生)

ある図形の各点を他のある図形の各点に対応させる規則によって、図形を"変形"する事を考えます。このとき、規則が備え持つ性質によっては変形することのできる図形が大きく異なります。そこで、どのような性質を備えればどのような変形ができるか?逆にどんな変形ができないのか?という問題について解説し、現在の私の研究についても
簡単に紹介しようと思います。

②15:10~16:10「三角形の変形と双曲幾何」大沢 健夫(名大多元数理・教授)

三角形全体の集合を一つの空間と考えると、そこには通常の平面に似た幾何学的な構造があります。その結果、たとえば「三角形の直線的な変形」というものが自然な意味を持ちます。このような観察から出発して、リーマン面の変形理論の一端に触れてみます。

12月28日開催 日本数学コンクールフォローアップセミナー 数理ウェーブ

※このイベントは終了しました。

①14:00~15:00「ワイルの一様分布定理」久本 智之(名大多元数理・特別研究員)

√2、2√2、3√2、4√2 ...という無限の系列を考えていったとき、これらの小数部分は区間(0, 1)の中でどのように分布しているでしょう か? 数学者ワイルは、フーリエ級数の鮮やかな応用とて、このような小数部分たちが 区間(0, 1)に「一様に」散らばっていることを証明しました。本講演では、フーリエ級数の導入から始めて、この一様分布定理の証明を紹介します。

②15:10~16:10「数の近似と関数の近似」大沢 健夫(名大多元数理・教授)

円周率が無理数であることはよく知られています。その証明はあまり話題にならないようですが、それを見てみると三角関数の性質がうまく使われていることがわかります。これを題材にして、無理数の有理数による近似と関数の有理関数による近似についてお話しします。

11月23日開催 日本数学コンクールフォローアップセミナー 数理ウェーブ

※このイベントは終了しました。

①14:00~15:00「やわらかい関数と堅い関数」 足立 真訓(名大多元数理・教務助教)

よい風景を見つけたとき、それを絵に描く人もいれば、写真に撮る人もいるでしょう。
現代の「解析幾何学」では、空間の性質を、空間が備える関数に写し取ることで調べます。どのような関数を用いるかで、表現できる現象が変わります。その一端を、可微分関数、正則関数、CR関数についてご紹介したいと思います。

②15:10~15:40「ものつくりに現れた関数の問題」大沢 健夫(名大多元数理・教授)

関数の研究の歴史は長く、その中で応用面が注目された研究がいくつもあります。その中からいくつか選んでご紹介します。一つは流体への応用で、大数学者オイラー以来のものですが、ものつくりということでは航空機の翼型への応用が有名です。もう一つは情報技術への応用です。 通信システムの設計の基本思想であるシャノン理論では、関数の補間公式が使われています。後に同じ形の理論が石油探査に利用され、さらに有名になりました。ついでに名古屋のものつくりに現れた問題もご紹介します。ただし(私の力不足のため)この問題はまだ解けていません。

10月26日開催 日本数学コンクールフォローアップセミナー 数理ウェーブ

※このイベントは終了しました。

①14:00~15:00 「ゼータ関数とL関数」大沢 健夫(名古屋大学多元数理・教授)

リーマンのゼータ関数やディレクレのL関数は、素数分布の問題などに応用される特殊な関数で、それらの零点や特殊値には数論的な情報がつまっています。未網恕一著「解析的整数論」にそってその概説を試みます。

②15:10~15:40 数学コンクール論文賞金賞論文の発表

「リーマンゼータ関数とディリクレL関数の特殊値分析」
受賞者:志賀 優一(和歌山県立日高高校)
代 読:大沢 健夫(名古屋大学多元数理・教授)

6月22日開催 日本数学コンクールフォローアップセミナー 数理ウェーブ

※このイベントは終了しました。

①14:00~15:00 「マッチング」 加藤 隆太(東京大学大学院経済学研究科院生2013.3迄  米国ジョンズホプキンス大学博士課程2013/9より)

伝統的な経済学では経済制度を与えられたものとして、市場の分析に力を注いできたのに対して、近年経済学では制度を設計するものと捉え、実際に市場がうまく機能するように設計する研究が進んでいる。今回はその中でも、昨年Alvin Rothがノーベル賞を受賞したことでも注目されている、マッチング理論と呼ばれる分野に焦点を当てる。研修医制度や学校選択制といった、経済学とは一見関係がなさそうな領域においてマッチング理論がどのように活用されているかについて概観する。

②15:10~16:10 「岡理論と核関数」  大沢 健夫(名古屋大学多元数理・教授)

岡潔の多変数関数論の研究は、ベンケ・ツレンの総合報告で分野の全体像をつかんだところから本格的に始まります。岡が精読したこの小冊子にはいたるところに興味深い書き込みが見られます。その中で核関数というものに関する部分に焦点を絞り、岡の疑問が最近の研究によってどこまで解き明かされたかに迫ります。これは出版予定の拙著の最終章にあたります。

5月25日開催 日本数学コンクールフォローアップセミナー 数理ウェーブ

※このイベントは終了しました。

①14:00~15:00 「図示される代数たち」  小西 正秀(名古屋大学多元数理・院生)

結び目理論、グラフ理論など、図を取り扱う数学は多々存在します。図を扱う、ということは幾何学か、と思われる方もいるでしょうが、実は代数を作る手段としても図は活躍しています。代数といえば身近なものは整数、実数、多項式や行列といったものですが、ある意味もっと身近な,図から生成される代数に触れてみましょう。

②15:10~16:10 「トポロジーと関数論」  大沢 健夫(名古屋大学多元数理・教授)

多変数関数論で「岡・カルタン理論」の名で知られる有名な定理があります。これについて、すべての命題の証明を読みながら主要結果に達するのは大学院生レベルの仕事ですが、宇宙の起源の研究に応用され得る数学理論として、高校生レベルの予備知識でその雰囲気を味わってみてもよいでしょう。書きかけの「多変数関数論の建設」の第5章と第6章をふまえてそんな話をしてみたいと思います。

4月27日開催 日本数学コンクールフォローアップセミナー 数理ウェーブ

※このイベントは終了しました。

①14:00~15:00 「演算構造の世界」  井澤 昇平(東北大学理学・院生)

古くは数学が取り扱う対象と言えば"数"や"図形"でした。現代では それらを全てを表現できるのものとして"集合"というものも数学の対象となっています。表現できると言っても、数や図形は集合の言葉で記述するにはかなり複雑な構成をしなければなりません。では、数や図形を離れて、集合の言葉で表現できるもので比較的単純な構造を一から調べてみる・・・という発想もあるでしょう。その一例として演算の構造 という、比較的ゆるい条件のみを課したものの全体を調べてみる、そんな取り組みの一部を紹介したいと思います。

②15:10~16:10 「代数的な集合と解析的な集合」  大沢 健夫(名古屋大学多元数理・教授)

岡潔の数学のうち、デカルトの座標の考えを多少大掛かりにした部分に ついて、執筆中の原稿の第3章「上空移行の原理」と第4章「岡の原理 とその展開」にそってお話しします。